生殖腺の発生、分化、機能におけるマイクロRNAの役割を解析するため、生殖腺の発生直後からマイクロRNAを欠失したマウスの作製を試みた。そのため、マイクロRNAの生合成の最終段階で機能するDicer遺伝子をノックアウトすることにした。ただ、Dicer遺伝子をノックアウトした個体は生殖腺が形成される前の段階で胎生致死となるため、コンディショナルノックアウトにより行った。全身性にDicerを認識するgRNAを発現させ、雌雄の生殖腺の形成直後から特異的に発現するmir-202のプロモーターにより生殖腺特異的に変異型Cas9-ires-EGFPを発現させた。しかし、予測された精巣形成の破綻は観測されず、Dicerのコンディショナルノックアウトがうまく機能しなかった可能性が考えられた。今後、mir-202の発現をモニターすることにより、コンディショナルノックアウトが機能したか明らかにする。また独自に同定したmir-202の標的をmir-202のプロモーターで強制発現させた遺伝子改変マウスの作製を試みたが生殖腺は正常に形成された。標的がこの遺伝子以外にも存在する可能性が考えられる。
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