研究課題/領域番号 |
26670109
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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研究分担者 |
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 酸化ストレス / 転写因子 / 細胞死 / 運動 |
研究実績の概要 |
定期的な運動は骨格筋を保つために重要な役割をはたす.しかし,運動による筋収縮は,骨格筋内での活性酸素種および活性窒素種(ROS/ RNS)の過剰な産生を誘導することが知られている.骨格筋組織内での過剰なROS/RNSの増加は,筋組織の機能異常をもたらし,運動能力を低下させるだけでなく,最終的には骨格筋へ様々な悪影響をおよぼす.運動時の骨格筋内での酸化ストレスの状態とNrf2の挙動について,筋芽細胞株C2C12とEPS装置を用いて,骨格筋収縮時の酸化ストレス状態およびNrf2の挙動を分子生物学的な実験手法により解析した.C2C12筋管細胞の過度な収縮は,過剰なROS生成を引き起こし,Nrf2およびその下流遺伝子は,生成されたROSの消去に働くこと,そして,過剰なROS生成は筋管細胞の細胞死を誘導するが、Nrf2の活性化はROSの消去を行うことで,その反応に対して抑止的に働くことが示された.すなわち,Nrf2は骨格筋の過度な収縮に伴う酸化ストレスから,筋機能を維持するための組織保護的な役割を担っていることが示唆された.また,本研究で観察された筋収縮時の過剰なROS生成は,ミトコンドリア由来であることが推測され,Nrf2が運動時の骨格筋のミトコンドリア機能に対しても保護的な機能を有している可能性を示唆した.今後は,Nrf2を調節することで,肥満患者等の運動療法などに対して,既存の方法を用いて,より効率的な運動方法の確立が可能になるのではないかと考えている.
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