研究課題
LPS誘導性低体温とSIRPαリン酸化の関連について、全身性のSIRPα KOマウスはLPS感受性が高く、低体温と活動低下が長期にわたることが明らかとなった。マクロファージ特異的なSIRPα KOマウスでは、明確なLPS高感受性は見られず、低体温や活動低下の増強にはマクロファージ以外の細胞に発現するSIRPαが重要であると考えられた。一方、SIRPαを欠損した神経細胞で低温による神経細胞死抑制効果を検討したが、用いた実験系では野生型マウスの神経細胞でも低温の効果が明確に確認できず、またSIRPαの有無による応答性の違いも有意な差は確認できなかった。脳内免疫系に重要なミクログリアのモデル細胞を用いて、低温応答性SIRPαリン酸化のin vitro解析系を新たに構築した。固定化した抗SIRPα抗体上で細胞を培養することで、低温によるSIRPαリン酸化誘導が増強した。リガンドを模倣した抗体により細胞表面のSIRPαが固定化されていることが低温誘導性リン酸化に重要であると考えられた。一方、チャネル阻害剤を用いた実験から、神経細胞における低温応答性のSIRPαリン酸化はCl-イオンチャネルの働きが必要であることを明らかとした。Cl-チャネルは細胞の容量調節に重要であることから、細胞表面上のSIRPαはリガンドとの結合で動きを固定されることにより容量変化の感知センサーとして働くという仮説をたて、今後の検証を予定している。一方、シグナルメカニズム解明のために行った質量分析の解析結果からは、脳内のSIRPαが分子シャペロンであるTCP-1と温度依存性に複合体を形成する可能性が見出されており、今後、結果の確認と意義の検討が重要であると考えている。
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