研究課題/領域番号 |
26670112
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
木場 智史 鳥取大学, 医学部, 講師 (40565743)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 活動筋反射 / 交感神経活動 |
研究実績の概要 |
本研究は,骨格筋分子基盤に機能介入することによって心不全での過剰交感神経活性を抑制するという医療方策の構築を目指し,ラットを用いたin vivo生理学実験を展開する.本年度には,覚醒ラットの動脈圧・心電図・腎および腰部の交感神経活動(RSNAとLSNA)・僧帽筋からの筋電図(EMGt)・腓腹筋からの筋電図(EMGg)を同時記録する実験系を構築し,すくみ行動時の生体信号収集を行った.覚醒ラットにホワイトノイズ音を曝露するとラットはすくみ行動を表出した.その際,交感神経および筋からの放電,特にRSNAとEMGgの上昇が顕著であった.ただしRSNAはトニックに増加した一方で,EMGgはフェイジックな反応を示した.また,すくみ行動時には徐脈応答が見られた.下肢循環中へのテンポール(SOD模擬化合物)の動脈内投与による骨格筋中のSOD機能の増強がラットすくみ行動時の交感神経・筋電・循環反応に与える影響を検討した.テンポールは覚醒・健常ラットのすくみ行動時の自律神経性応答に対して顕著な影響を示さなかった.また,すくみ行動中の筋電反応と交感神経反応との間には有意な相関は検出されず,現時点では覚醒下における筋感覚神経による交感神経調節能を定量的に評価するまでには至らなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本計画の具体的な研究課題「1. 覚醒ラットの生体信号記録系の構築」「2. 生体信号の解析方法の確立」「3. 覚醒下での交感神経調節における筋感覚神経機能の修飾方法の確立」「4. 心不全への応用」のうち,本年度には1から3まで取り組んだ.1は予定通りに進んだ一方で,2および3では想定していなかった結果が出た.そのために当初の計画から研究戦略を洗練させる必要性が生じた分,「やや遅れている」と自己評価した.
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今後の研究の推進方策 |
筋感覚神経機能を修飾する骨格筋中分子としてシクロオキシゲナーゼに着目し,その機能操作を試験する.骨格筋中のシクロオキシゲナーゼ-2(心不全骨格筋では発現上昇することが知られている)の機能阻害が覚醒ラットのすくみ行動時生体反応に与える影響を健常体および心不全でも検討する.また,生体電気信号のSN比の改善にも取り組む.その上で再度,すくみ行動中の筋電反応と交感神経反応との相関の解析にも取り組む.これらの試みから,骨格筋分子基盤に介入することによって心不全での過剰交感神経活性を抑制するという医療方策の有効性を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬等が安価に購入できたため、執行残が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬の購入に用いる.
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