研究課題
本研究は、アドロピンやオーグリンなどのエネルギー代謝や食欲、その他様々なシグナルに関与するペプチドホルモンの未知の受容体を同定し、さらにその下流のシグナル伝達経路の詳細を解明することを目的としている。アドロピンは、肝臓で発現しており、高カロリー食を摂取したマウスでは発現が亢進することや、脂質の合成に関係するPPARγなどの遺伝子発現に関わることが知られているが、その受容体や細胞内のシグナル伝達経路の詳細については解明されていない。エネルギー代謝や免疫、感情、性欲、消化、食欲など広範な生体現象に関わっている重要なシステムとしては、視床下部と下垂体、副腎皮質から構成されるHPA axisが知られており、体内での神経系と関わる内分泌を制御すると考えられている。しかし、HPA axisに対するアドロピンやオーグリンの関与は報告されていない。ビオチン標識したアドロピンの受容体のスクリーニングを行ったが候補を濃縮することができなかった。これは293細胞内でのプラスミドDNAの維持が不安定で、欠失が48時間以内でも高頻度で発生することによるものと考えられた。そこで、2分子結合に多くの実績がある酵母two-hybrid法を改変して用いる方法を考案し(特許出願中)、アドロピンと結合する可能性のある部分cDNAを得た。今後は、ヒト細胞でこの分子を発現させて実際にビオチン化したアドロピンと結合するか否か、細胞内で遺伝子発現などを変化させるかを解析する予定である。
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