研究実績の概要 |
ヒスタミンは、必須アミノ酸であるL-ヒスチジンからヒスチジン脱炭酸酵素(histidine decarboxylase, HDC) によって合成される。主な産生細胞は、視床下部、結節乳頭核に細胞体を持つヒスタミン神経、胃ECL細胞、マスト細胞、好塩基球などで、4種類のGPCR受容体により機能が発揮される。H1受容体の機能研究は最近H1受容体のX線解析が報告されたように多くの研究がなされている。またノックアウト(KO)マウスも我々の研究を中心にH1~H4受容体、HDCで作成されて多くの研究が発表されているが、分解系のヒスタミンN-メチルトランスフェラーゼ(HNMT)遺伝子KOマウス作成に関してまだ報告されていない。脳におけるヒスタミン分解系であるHNMTの機能について、KOマウスを用いて明らかにすることは学術的に重要であり、またHNMT阻害薬などの新しいヒスタミン系の創薬に発展できる可能性がある。脳における神経伝達物質ヒスタミンの増加は、アルツハイマー病になりにくい、抗ストレス・抗不安、抗疲労作用がある、ミクログリアの機能を健全に保ち神経保護作用がある、認知機能を高める、 抗肥満作用があるなど改善効果が期待される。ヒスタミンには特異的トランスポーターは存在しないために、マスト細胞における取り込みに非特異的トランスポーターOCT3が関係していると考えられていたが、我々は最近、グリアに発現している非特異的トランスポーターPMAT(plasma membrane monoamine transporter)がヒスタミンの取込に重要な分子であることを明らかにしている(Yoshikawa T, Yanai K, et al.Glia 2013, 61, 905-916)。本研究によりHNMT-KOマウスとPMAT-KOマウスを初めて作成することができた。現在、表現型を解析している。
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