研究課題
動物の摘出灌流心において、KCNQ1(ゆっくりと活性化する遅延整流性Kチャネル(心筋活動電位の再分極に重要な役割を演じている)の主サブユニット)の細胞膜発現量の変化をリアルタイムで可視化できるモデルを確立することを目的に検討を行った。1. pH感受性リガンドを用いた検討pHluorin(酸性環境で蛍光強度が低下するGFP変異体)をKCNQ1の細胞外領域に融合させたコンストラクトを用いた検討で、期待する結果が得られなかったため、市販されているpH感受性Haloリガンド(酸性環境で蛍光が増大する)を用いた検討を行った。これまでに、HaloタグをKCNQ1の細胞外領域に融合させたコンストラクト(Halo-KCNQ1)が、α受容体刺激によってエンドサイトーシスすることは明らかになっている。Halo-KCNQ1をHEK293細胞に発現させ、細胞膜非透過性のpH感受性Haloリガンドを用いて、細胞膜上に発現しているKCNQ1のみをラベルした。その後、α受容体を刺激し、エンドサイトーシス(酸性環境であるエンドソームへの移動)による蛍光の増大が見られるかどうかを、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。残念ながら、エンドサイトーシスによる蛍光強度の増大を検出することは出来なかった。2.pH感受性GFP変異体に関する検討前年度までの結果を反省材料に、pHluorinをベースにしてアミノ酸変異をランダムに導入することによって、よりpH感受性が高いGFP変異体を得ることを計画した。スクリーニングの系として大腸菌を用いることを考え、大腸菌のペリプラズムに外来遺伝子を発現させるベクターにpHluorinをサブクローニングして、現在細胞外pHの変化がpHluorinの蛍光にどのような影響を与えるかを検討中である。
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Plos One
巻: 12 ページ: e0173628
10.1371/journal.pone.0173628