研究課題/領域番号 |
26670120
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲生 大輔 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40721981)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 軸索 / Ranvier絞輪 / イメージング |
研究実績の概要 |
軸索における情報伝達の要であるRanvier絞輪周辺の分子動態が、異常時にどのように変化するかを生きた組織の中で可視化することが本研究の目的であり、それを通じて軸索の異常による病態の発症機構研究をさらに推し進めることを目指す。本年度は本研究目的を達成するための基盤技術の創出に従事し、主に以下に示す3点を達成した。 (1) Ranvier絞輪が蛍光ラベルされたマウスの作成: Ranvier絞輪を蛍光ラベルするためのプローブを作成し、マウス脊髄への導入を試みた。アデノ随伴ウイルスベクターを用いて遺伝子導入を行なうことでで脊髄軸索にまばらに目的遺伝子を発現させることを達成した。また、同時に細胞内Ca2+濃度、ミトコンドリア、細胞骨格などを可視化する蛍光プローブを発現させるアデノ随伴ウイルスベクターも作成し、こちらもマウスへの導入を試みている。 (2) 脊髄in vivoイメージング技術の確立: マウス脊髄においてin vivo イメージングを行なうための手術セットアップを作成した。特に脊髄の固定器具を作成し、これを用いてイメージングを行なうためのwindowの作成し、二光子励起顕微鏡を用いた画像の取得に現在取り組んでいる。 (3)脊髄軸索の病態モデルの作成: 脊髄軸索の病態モデルの誘導の条件検討を行なった。特に、遺伝子を導入したマウスにおいて多発性硬化症の実験モデルであるExperimental autoimmune encephalomyelitisの誘導に成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画のうち、アデノ随伴ウイルスベクターを用いてマウスの脊髄軸索に蛍光プローブを発現させることに関しては達成した。また、in vivo イメージングを行なうための固定具作成および手術法の確立にも取り組んだ。生きたマウスの脊髄からの画像の取得に何度か成功しており、現在成功率を増加させるべく手術法の改善に取り組んでいるところである。さらに、次年度に行なう予定であった脊髄の病態モデルの検討にも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
脊髄におけるin vivoイメージングの成功率を上げることが現在の課題である。具体的には、以下2点の問題を手術法の工夫により改善することで達成可能であると考えられる。(1)視野ずれを最小限に抑える。(2)手術部位の炎症を最小限に抑える。上記の問題を克服し、軸索Ranvier絞輪内分子動態のin vivoにおける可視化を世界に先駆けて達成したい。
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