研究課題/領域番号 |
26670127
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
櫻井 隆 順天堂大学, 医学部, 教授 (70225845)
|
研究分担者 |
根本 直人 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60509727)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 神経科学 / プロテオーム / 組換え抗体 / 薬理学 |
研究実績の概要 |
神経細胞の機能は、その高度な極性構造を基盤としてシナプスを介した神経細胞間やグリア細胞との相互作用により制御されている。特定の神経機能に関与する膜タンパク質を同定し解析するためには、細胞間相互作用の場における時間分解能の高い方法を用いる必要がある。フルオレセイン標識抗体と光照射によるリアルタイム蛋白質不活性化法 (FALI) はそれに適した方法であるが、標的となる細胞表面の膜タンパク質を網羅する抗体(様)分子の調製とフルオレセイン標識を効率良く行うことが課題となっていた。本研究では、発現効率・安定性の高いスキャフォルドを持つ抗体(様)分子ライブラリーとcDNA ディスプレイ技術を組み合わせてこの問題を克服し、FALIを用いたハイスループット創薬標的探索を行うための基盤技術を確立することを目的としている。 本年度は、新しいスキャフォルドを持つ抗体(様)分子を無細胞翻訳系においてcDNA ディスプレイとして発現させる条件を検討し、スキャフォルドにランダムなペプチド配列を挿入したライブラリーとして発現させるために最適化することを目指して実験を行った。いくつかの抗体(様)スキャフォルドと無細胞発現系の組合せを検討し、ラクダ由来シングルドメイン抗体(VHH)スキャフォルドを用いることよりcDNA ディスプレイ分子として発現させることが可能となった。さらに、無細胞翻訳系及びcDNA ディスプレイの効率向上を目指して反応条件の検討を進めた。特定の標的分子に結合するクローンを得るトライアル実験を行うために必要な発現レベルに達しつつある。 今後は、モデル系を用いて結合クローン増幅・再構築の条件検討を行い、培養細胞を用いた実験に進むための反応条件確立を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
VHHスキャフォルドの無細胞翻訳系及びcDNA ディスプレイ化の反応条件を検討し、十分な独立クローン数を維持したライブラリーとして発現させる目処がついた。今後モデル実験へ進むための基礎的な条件設定はほぼ予定通り進んでいると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
ピューロマイシンリンカーを用いたcDNA ディスプレイの開発者であり、高効率化を進めている研究分担者と引き続き緊密に協議を行いながら、ライブラリーとしての発現効率の向上と結合クローン増幅・再構築条件の検討を効率良く進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
無細胞翻訳系及びcDNA ディスプレイの発現効率を高めることが早期に可能となり、当初の予定よりも無細胞翻訳系等の試薬・キット類の使用量が少なかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
今後はcDNA ディスプレイライブラリー構築のために大量の試薬・キットを使用する予定であり、そのために研究費を使用する。
|