研究課題
イノシトールリン脂質(PIPs)は、グリセロールにイノシトール環と2つのアシル基が結合した構造を有する。これまでの研究では、極性基であるイノシトール環のリン酸化状態により7種類に分類し、各々のPIPsはシグナリング分子として機能することがこれまでの研究から明らかにされている。一方アシル基については、技術的な問題から解析が進んでいない。本研究では、新規のPIPs測定技術の開発と、PIPsアシル基組成を人為的に制御可能な細胞の作出を目指す。本年度は、まず、標準品のPIP1(PI(3)P、PI(4)P、PI(5)P)、PIP2(PI(3,4)P2、PI(4,5)P2、PI(3,5)P2)アイソマーを識別する方法の開発に取り組んだ。極性の違いで分離できる順相カラム、酸性の物性をもつ分子を分離できるアニオン交換カラム、光学異性体の分離に用いられるキラルカラムを用いて検討したところ、PIP1に関しては一種類のアイソマーを、PIP2に関しては三種類のPIP2アイソマーを分離・検出する条件を見出すことに成功した。今後は残り二種のPIP1アイソマーを識別する方法を見出すとともに、細胞由来のPIPsアイソマーの識別にも応用可能であるか否か検討する。本年度はさらに、薬剤誘導性に3種類のアシル転移酵素を発現する安定発現細胞株を作製した。今後これらの細胞におけるPIPs分子種の変動について解析を進める。
2: おおむね順調に進展している
標準品を用いた解析ではあるが、3種のPIP2アイソマーを識別する方法を確立しつつあり、当初の計画通り進んでいる。
PIP1のアイソマーを識別する方法の確立を目指す。また、本年度で作製したアシル転移酵素安定発現株を用いてPIPsの分子種変動を解析するとともに、細胞応答との関連について解析する。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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