刺激に応じて生理活性分子を細胞外に放出する調節性分泌経路では、分泌小胞膜と細胞膜の最終的融合の前に、小胞膜と細胞膜のドッキングと、それに続いて膜融合を可能にするプライミングが必要であると信じられてきた。我々は、これらの過程に関与する分子を別々の蛍光で標識し、生きた膵β細胞において可視化した。その結果、細胞膜ドッキングは刺激なしに開口放出が起こることを防ぐ膜融合抑制過程であり、これを開口放出可能とするプライミングは、刺激前ではなく、刺激後のCa2+上昇に応じて、プライミング因子が顆粒膜に集積し、ドッキング因子を解離させることによって起こることを示唆する所見を得た。
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