本研究において、JNKシグナルはHippo経路の構成因子Warts (Wts) を活性化してYorkie (Yki) 活性を抑制することで腫瘍形成を負に制御していることがわかった。その一方でRasシグナルが活性化した細胞では、JNKシグナルはRasシグナルと協調してAjubaを介したアクチンフィラメントの動態変化によってWtsの不活性化を促し腫瘍形成を促進することが明らかとなった。このことから、RasシグナルはJNKシグナルの腫瘍形成と腫瘍抑制という二つの作用をスイッチすることでJNKシグナルによる「細胞適応度」の制御機構を破綻させて腫瘍形成を促進していることが示唆された。
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