研究課題
本研究では、エクトドメイン・シェディングの「ゆらぎ」とがん細胞の形質転換の「ゆらぎ」との相関性を、乳がん細胞株MCF7細胞を用いて検討した。“ゆらぎ”の定量化には、Fluhembの発現量が比較的高く、細胞膜上での分布が見やすい2種のMCF7クローン#5と#8を選択し、これを基にさらにサブクローンを樹立し、その形態を観察するとともにproHB-EGFシェディングを定量した。 クローン#5では間葉形態を示すクローンが多く樹立されてきたのに対し、クローン#8では上皮形態を示すクローンが多く樹立されてきた。これらのクローンを用いてproHB-EGF シェディング活性を定量した。その結果、サブクローン#5-1、#5-2、およびクローン#8ではAzamiGreen/mCherry (G/R比)がそれぞれ、0.67、0.78、0.86であり、間葉形態を示すクローン(#5)では上皮形態を示すクローン(#8)に比べて、G/R ratio が低い傾向を示した。また、これらのサブクローンの細胞増殖活性を検討した結果、上皮形態を示すクローン細胞(#8)は、間葉形態を示すクローン細胞(#5)より高い増殖活性を示す傾向が観察された。次に、乳がん細胞株MCF7細胞を、まず、3種の表面抗CD24/CD44/EpCAMに対する抗体を用いたFACS解析により、CD24hi/CD44neg/EpCAMhiをStem type、CD24hi/CD44neg/EpCAMnegをBasal type、CD24lo/CD44hi/EpCAMhi をLuminal typeとして細胞形質を分画した。それぞれの細胞画分におけるproHB-EGFシェディングを定量解析した結果、各タイプともに極めて大きなばらつきを示した。このことは、上記の各タイプがかなり不均一な細胞集団であることを示唆している。
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