研究課題/領域番号 |
26670146
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安井 正人 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90246637)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アクアポリン4 / iPS細胞 / 神経幹細胞 / ES 細胞 |
研究実績の概要 |
マウスiPS細胞を樹立する際の体細胞組織の部位によって、テラトーマ形成率が異なり、神経系に分化誘導した際に残存する未分化細胞がテラトーマ形成に関与することが明らかとなっている。しかし、それを排除する方法や仕組みについては、抜本的な解決に至っていない。我々は、アクアポリン4(AQP4)を発現した細胞が超急速凍結に対して耐凍性を獲得することを発見した。本研究では、ES細胞、iPS細胞から神経幹細胞に分化誘導した際に発現するAQP4の耐凍性を活用して、残存する未分化な細胞除去に有効であるか検証することを目的とする。 初年度は、ES細胞ならびにiPS細胞を神経幹細胞へ分化誘導した際、耐凍性のマーカーとなるAQP4の発現が誘導されるか検証した(目的1)。その結果、神経幹細胞への分化に伴ってAQP4発現が誘導されることを確認した。また、分化した細胞の超急速凍結後の生存率が未分化細胞(ES細胞、iPS細胞)に対して上昇することも明らかにした。 さらに、一般的な凍結保護液として用いられるジメチルスルホキシド(DMSO)を10%混合した際、凍結スピード(緩慢、急速)の違いによる細胞の性質に与える影響を評価した(目的2)。その評価法として、異なるスピードで凍結融解した細胞をスライドガラスに接着培養させ、神経に分化誘導されているか組織染色法によって検証した。その結果、凍結スピード(緩慢・急速)に関わらず、融解後の細胞において神経、アストロサイト、オリゴデンドロサイトを観察した。よって、超急速凍結による分化能への影響は見受けられない。 次に、凍結速度による未分化細胞の除去率について、未分化マーカーnanog-EGFPを指標にフローサイトメトリーを用いて検証した(目的3)。その結果、緩慢凍結では残存する未分化細胞が、超急速では、除去されることが明らかとなった。n数を増やすことで、有意差を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説通り、実証試験が進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で示した超急速凍結・融解法を最適化することで、iPS細胞から分化した神経幹細胞を選別と残存する未分化iPS細胞の除去の精度を上げる。さらに、次年度の目標であった、in vivoにおける腫瘍化の検証を行う予定である。
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