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2014 年度 実施状況報告書

アルツハイマー病促進因子「バイセクト糖鎖」により制御される新規輸送メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 26670148
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

木塚 康彦  独立行政法人理化学研究所, 疾患糖鎖研究チーム, 基礎科学特別研究員 (20564743)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード糖鎖 / アルツハイマー病 / バイセクト糖鎖
研究実績の概要

本研究では、いまだ不明な点が多いアルツハイマー病発症の分子メカニズムをこれまでにない糖鎖の視点から探ることを目的にしている。ごく最近「バイセクト糖鎖」と呼ばれる特徴的な糖鎖がin vivoレベルでアルツハイマー病の発症を促進させることが明らかになったことから、本研究課題ではこの知見を発展させ、バイセクト糖鎖が細胞内でどのように認識され、機能しているのか、その分子機構の解明を目的とする。特に、アルツハイマー病発症において最も重要な分子の一つ、BACE1の細胞内分布がバイセクト糖鎖の欠損によって大きく損なわれることから、BACE1糖タンパク質の細胞内トラフィックに焦点を当て、アルツハイマー病発症に関わる新たな分子メカニズムを明らかにする。
平成26年度では、BACE1と結合する分子の中に、バイセクト糖鎖を認識するタンパク質が存在するとの仮説をたて、BACE1と相互作用するタンパク質をマウス脳より生化学的に単離することを試みた。その結果、BACE1の免疫沈降複合体の中に、Clec4gと呼ばれる糖鎖認識タンパク質が含まれていることを質量分析によって同定した。さらに、これら2つの分子が実際に細胞で相互作用していること、Clec4gを細胞に導入することによってBACE1によるアミロイドβの産生量が減少すること、その減少はBACE1の細胞内局在の変化に起因することを見出した。
これらの成果を論文としてまとめ、すでに投稿した。現在、revisionの段階に入っている。これらの成果は糖鎖認識タンパク質が、BACE1との相互作用を介してアミロイドβの産生を制御し、ひいてはアルツハイマー病発症に深く関わることを示すものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度は予想以上に早くBACE1と相互作用する糖鎖認識タンパク質Clec4gを同定することができた。これにより、Clec4gを細胞に導入する実験を行うことが出来、Clec4gがBACE1の局在を制御してアミロイドβ産生を負にコントロールすることを示すことができた。現在すでにこれらの結果は論文としてrevisionの段階に入っていることから、本研究課題は順調に進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は、同定したClec4gがBACE1とどのように相互作用しているのか、糖鎖を介したものなのか、また糖鎖であるとするならばBACE1上のどの糖鎖構造を認識しているのかを明らかにする予定である。
また、本研究の進展によりBACE1の細胞内局在とタンパク質安定性には酸化ストレスが深く関連していることをごく最近見出している。平成27年度以降は、この詳細な分子機序についての解析を行いたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Role of N-glycans in cancer biomarker, progression and metastasis and therapeutics2015

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Taniguchi, Yasuhiko Kizuka
    • 雑誌名

      Advances in Cancer Research

      巻: 126 ページ: 11-51

    • DOI

      10.1016/bs.acr.2014.11.001

  • [学会発表] High-throughput screening of GnT-III inhibitors using UDP-Glo system to develop a novel drug candidate for Alzheimer’s disease2014

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiko Kizuka, Shinobu Kitazume, Keiko Sato, Tetsuo Ohnuki, Mutsuko Kukimoto-Niino, Mikako Shirouzu, Minoru Yoshida, Laurie Engel, Hicham Zegzouti, Naoyuki Taniguchi
    • 学会等名
      SFG & JSCR 2014 Joint Annual Meeting
    • 発表場所
      Honolulu
    • 年月日
      2014-11-16 – 2014-11-19
  • [学会発表] Bisecting GlcNAc欠損によるアルツハイマー病抑制に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      木塚康彦、北爪しのぶ、藤縄玲子、斎藤貴志、岩田修永、西道隆臣、中の三弥子、山口芳樹、橋本康弘、Matthias Staufenbiel、初田裕幸、村山繁雄、萬谷博、遠藤玉夫、谷口直之
    • 学会等名
      第33回日本糖質学会年会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-08-10 – 2014-08-12

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公開日: 2016-05-27  

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