研究課題
本研究では、いまだ不明な点が多いアルツハイマー病発症の分子メカニズムをこれまでにない糖鎖の視点から探ることを目的にしている。最近「バイセクト糖鎖」と呼ばれる特徴的な糖鎖がin vivoレベルでアルツハイマー病の発症を促進させることが明らかになったことから、本研究課題ではこの地検を発展させ、バイセクト糖鎖が細胞内でどのように認識され、機能しているのか、その分子機構の解明を目的とする。これまでに、バイセクト糖鎖によって機能調節されるアルツハイマー関連糖タンパク質のBACE1に着目し、BACE1と相互作用する糖鎖結合タンパク質Clec4gを見出した。そしてClec4gはBACE1の細胞内分布を制御することによりアルツハイマー病の原因となるアミロイドβペプチドの産生を負に制御していることを明らかにした。この成果はFEBS Letters誌に掲載された。さらに、バイセクト糖鎖によるBACE1の細胞内分布とリソソームにおける分解制御には、加齢やアミロイド蓄積に伴う酸化ストレスが関わっていることを明らかにした。この成果はBiochemical Journal誌に掲載された。また、バイセクト糖鎖の発現機構についてエピゲノム解析を行い、この成果はProteomics誌に掲載された。さらにバイセクト糖鎖含有糖タンパク質の網羅的な同定にこれまで成功しており、この成果は論文として準備中である。これらの成果の一部は総説として、Trends in Glycoscience and Glycotechnology誌、Molecular Aspects of Medicine誌、Biomoleucles誌等に掲載された。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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