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2014 年度 実施状況報告書

腎肥大を規定する新規制御因子Slp2-aの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 26670149
研究機関東北大学

研究代表者

安田 貴雄  東北大学, 生命科学研究科, JSPS特別研究員(PD) (70598482)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードSlp2-a / ezrin / 腎臓尿細管上皮細胞 / 細胞肥大 / 嚢胞性腎疾患
研究実績の概要

腎臓尿細管上皮細胞の形態形成やバリア機能の破綻は「嚢胞性腎疾患」などの腎臓機能障害に直結することから、それらの獲得機構の解明は非常に重要な研究課題と考えられるが、未だその詳細は十分に解明されていない。報告者はこれまでに、腎臓尿細管上皮モデル細胞株を用いて、膜輸送に関わるSlp2-aに着目し、1、上皮細胞のバリア機能に関わる密着結合分子の発現調節を行うこと(Mol Biol Cell, 2012)、2、尿細管の管腔形成を調節すること(Nat Cell Biol, 2012)、3、上皮細胞の大きさを制御すること(J Cell Sci, 2014)を明らかにしている。最近、4、腎臓尿細管上皮細胞の大きさや極性の破綻した遺伝子疾患である「嚢胞性腎疾患」のモデルマウスの腎臓において、Slp2-aの発現異常やSlp2-a下流シグナルの異常を見出している(J Cell Sci, 2014)。本年度はSlp2-aの下流シグナルに着目し、上皮細胞の形態形成メカニズムの解析を行うことにより、Slp2-aシグナルと嚢胞性腎疾患の病態発症との関連を明らかにすることを目的とした。これまでに、新規Slp2-a結合分子としてRap1GAP2とProtein Phosphatase 1(PP1)を同定することに成功しており、それぞれ間接的、または直接的にSlp2-aシグナルの下流に位置する重要なシグナル分子ezrinの活性調節に関わることを見出している。すなわち、Slp2-a欠損細胞においてRap1GAP2とPP1が細胞膜に局在できず、細胞膜上でのezrin活性を抑えることができないため、ezrin活性が亢進してしまうことが細胞肥大に繋がることを明らかにした。これまでの結果をまとめ、国際誌(BBRC, 2015, in press)に発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の目的であるSlp2-aの下流シグナルを同定することに成功しており、これまで未解明であったSlp2-aシグナルによる上皮細胞肥大の調節機構を明らかにすることができ、これまでの研究成果をまとめ国際誌に論文を掲載することができたことからも、採用1年目は期待以上の進展があったと評価しています。

今後の研究の推進方策

これまでに、Slp2-aの新規結合分子としてRap1GAP2とPP1を同定しており、それぞれ間接的、直接的に細胞肥大に関わるezrin分子の活性を調節することを見出している。さらに、Slp2-aの発現異常とezrin分子の過剰な活性化を嚢胞性腎疾患モデルマウス(pcyマウス)でも認めていることより(J. Cell Sci, 2014)、過剰に活性化したezrin分子の活性を抑えることができれば、未だ治療方法のない「嚢胞性腎疾患」の治療にも応用できるのではないかと考えている。そこで、今後の研究課題では、ezrinの活性を抑える薬剤の探索を行うこと、また、他の嚢胞性腎疾患モデル動物(PCKラット)でもpcyマウスと同様に、Slp2-aシグナルの異常が認められるかどうかを検証する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Functional analysis of Rab27A and its effector Slp2-a in renal epithelial cells2015

    • 著者名/発表者名
      Yasuda T, Mrozowska SP, Fukuda M.
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology

      巻: 1298 ページ: 127-139

    • DOI

      10.1007/978-1-4939-2569_11

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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