本研究では、細胞のがん発症過程で引き起こされる上皮間葉転換と解糖能の変化におけるがん遺伝子オーロラAキナーゼの関与について検討した。その結果、オーロラAキナーゼの高発現により、EMTの誘導、細胞極性の異常、細胞分裂期における解糖能の上昇が誘導されていることがわかった。オーロラAキナーゼによりリン酸化されたp53においても解糖能の上昇が認められた。リン酸化p53に特異的に結合するタンパク質中に解糖経路に関わるタンパク質が含まれていることから、オーロラAキナーゼの高発現による解糖能上昇にp53が部分的に関与していることが示唆された。
|