研究課題
核小体ストレス応答は癌抑制因子p53を制御する新たな機構として注目されている。我々は新規に核小体ストレス応答を検出できる蛍光レポーターシステムを構築し、薬剤のスクリーニングを行った。その結果、ActinomycinD等の既知の作用化合物に加えて、この応答機構への作用が知られていない複数のヒット化合物を得た。これらのヒット化合物は、容量依存性にp53を増加させ、核小体ストレス応答依存性に癌細胞の増殖を抑制することが確認できた。今後、これらのヒット化合物は、DNA損傷による副作用を生じない、新たな癌治療薬として開発できる可能性が考えられた。
2: おおむね順調に進展している
核小体ストレス応答について、定量的な蛍光レポーターシステムを構築し、薬剤スクリーニングによって複数のヒット化合物を見出した。これらはプロファイリングアッセイによって核小体ストレス応答への作用も確認できた。今後、化合物の探索を範囲を広げること、また得られた化合物を改変する事で新規な癌治療薬開発を進めれることが期待できることから、計画当初の予定どおりにプロジェクトは順調に進行できている。
定量的な蛍光レポーターシステムを新規に構築できたことから、本研究成果は論文投稿に向けて現在準備を進めている。また、東京大学創薬機構から化合物ライブラリーの提供を受け、現在より大規模な薬剤スクリーニングを実施している。今後、得られたヒット化合物は、カウンターアッセイやプロファイリングアッセイによって、新規作用化合物を見出し、抗癌剤として開発を進める予定である。
核小体ストレス応答を利用したがん治療薬の開発に関して、スクリーニングする低分子化合物ライブラリーの化合物数を減らしたため。
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 薬用植物資源研究センターから大規模な植物エキスライブラリーを提供いただけることとなり、合成低分子にない特徴的な構造をもつ天然物有機化合物から新たなヒット化合物を得たいと考え、薬用植物エキスライブラリーのスクリーニングを実施する。
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http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~moloncl2/index.html