研究課題
非翻訳領域リピート伸長変異は、翻訳領域リピート伸長に比べ遥かに大きく、その不安定性も極めて強い。リピート長(遺伝子型)と表現型の相関も弱く、その病態は複雑でその解明も不十分である。翻訳領域リピート病(ポリグルタミン病)患者において、罹患臓器のリピート長が最大かつその不安定性が強いこと、ageingと共に不安定性が増強するが、非翻訳領域リピート病患者についてその知見はよく知られていない。代表的な非翻訳領域リピート病である脊髄小脳失調症8型 (spinocerebellar ataxia type 8: SCA8) と脆弱X随伴振戦失調症候群(Fragile X-associated tremor/ataxia syndrome: FXTAS) の剖検例を入手し、罹病(神経)組織だけでなく非罹病組織を含めた多臓器のサンプリングを行った。各組織を最低3分割し、それぞれDNA・RNAを抽出し、タンパク発現解析のために組織を一部凍結保存した。各々のリピート不安定性の程度ををFAMラベルPCR後ABI 310泳動で解析中であり、同時にその不安定性が、各組織のミスマッチ修復(MMR)遺伝子:MSH2/3,/6、MLH1、PMS2タンパク発現量で説明できるか、ウエスタンブロット法で解析する予定である。SCA8、FXTASにおいて各臓器を使用した体細胞モザイクの詳細な解析は、未だ報告されておらず、その病態解明に重要な知見になりうると考えている、
2: おおむね順調に進展している
リピート不安定性解析については順調に推移している。解析を進め、データを取りまとめる予定である。
平成27年度はリピート不安定性解析に加えて、新しい病態メカニズムとして提唱されたRAN translation(開始コドンなしに異常翻訳を受ける)の解析を行う。SCA8/FXTAS剖検例を用いて、罹病(神経)組織だけでなく非罹病組織のRAN translationを解析定量化すること、神経特異的発現しているRAN translationのフレームペプチドを明らかにし、その病原性を検討する。
平成26年度研究に際しては、主として他の競争的研究資金を使用した。
平成27年度分と合算して、本研究計画を適切に遂行する予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件)
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