研究課題
1. 脆弱X随伴振戦/失調症候群 (FXTAS)はFMR1遺伝子CGGリピート伸長(55~200リピート)を原因とする遺伝性神経変性疾患だが、その体細胞リピート不安定性は明らかでない。FXTAS剖検例から複数の体細胞組織のDNAを抽出し、FMR1 CGGリピート数とその挿入配列を検討した。神経系では86~91リピートで、非神経系では89~93であった。膵臓組織では90リピートだったが、隣接した膵臓癌組織では89/120のモザイクを呈していた。各々の臓器に1つのAGG挿入配列を認めた。組織間でのCGGリピート数の相違は、3’CGGリピートの不安定性によるものであることが判明した。2. FXTAS剖検例の各体細胞組織のDNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子発現をリアルタイムPCRとウエスタンブロット法で解析し、各々の組織のCGGリピート数と比較検討した。MMR遺伝子発現が強いほど、CGGリピート数は伸長する傾向にあった。しかしながら、膵臓癌組織では正常膵臓組織に比べ、MMR遺伝子発現が著しく減弱しているにも拘わらず、CGGリピートは不安定化しており、がん化によるリピート不安定性は、正常組織のそれと異なるメカニズムに起因することが予想された。
すべて 2016
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Scientific Reports
巻: 6 ページ: 1-11
10.1038/srep25317
J Biol Chem
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