脆弱X随伴振戦/失調症候群 (FXTAS)はFMR1遺伝子CGGリピート伸長を原因とする遺伝性疾患だが、その体細胞不安定性は明らかでない。FXTAS剖検例から複数の組織のDNAを抽出し、CGGリピート数と挿入配列の有無を検討した。AGG挿入配列を伴う86~93リピートの体細胞モザイクを呈していた。組織間リピート数の相違は、3’リピートの不安定性のためであった。各組織のDNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子発現を解析し、MMR遺伝子発現が強いほど、リピート数は伸長する傾向にあった。癌組織ではMMR遺伝子発現が著しく減弱しているが、リピート数は不安定化しており、異なる不安定性メカニズムが示唆された。
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