研究実績の概要 |
600例の胃癌のティシューアレイを構築し、クロマチンリモデリング因子の構成要素のうち、 ARID1A, ARID1B, ARID2, SMARCC1, PB1, BRG1 の発現状態について、免疫組織化学的に検索を終えた。また、 5 例の胃癌通常切片でも発現を検索し、腫瘍内の発現のムラがあまり無いことを確認した。発現低下症例は、 ARID1A 20%, ARID1B 10% 、ARID2 15%、 SMARCC1 29% 、PB1 14% 、 BRG1 52%であった。 胃癌の進行度、脈管侵襲との関連が多くの因子で見出され、いずれの因子も腫瘍抑制的な作用が示唆された。 hMLH1 発現低下はMSI 形質を示唆するが、 MLH1 発現低下と諸クロマチンリモデリング因子発現低下が関連していた。 p53 蛋白の発現状態との関連は無かった。 EB ウイルス感染との関連は ARID1A のみであった。クロマチンリモデリング因子発現低下の相互の関連もあり、共通する発現低下機構があることが推察された。 培養細胞系では、胃癌細胞株 MKN1, 7, 45, 74, NUGC3, AGS について、ARID1A, 1B, 2の発現状態を検索した。 MKN74 のARID1A, 2 発現が多いほか、その他の細胞でも様々レベルの発現を確認した。メチル化状態が ARID の発現に関連している可能性を探るために、 5-Aza-dC 処理後の各細胞、各 ARIDの発現を検索した。 5-Aza-dC 処理後にARID の発現が増加することがわかり、メチル化状態の関与が示唆された。 siRNA によるARID の発現抑制の条件を検討して、それぞれの細胞の至適濃度を決定した。
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