破骨細胞分化と骨吸収機能における外的要因による遺伝子発現を網羅的に解析するためにマウス骨髄細胞からM-CSFとRANKLを用いて骨髄由来マクロファージ(BMM)、単核プレ破骨細胞(pOC)、非活性型破骨細胞(mOCp)、活性型破骨細胞(mOCd)、脱灰デンチン上破骨細胞(mOCdd)、カルシウム存在下破骨細胞(mOCpCa)、高接着性単核プレ破骨細胞(mnOCsp)、及び高接着性破骨細胞(mOCsp)の8種類の細胞を調整し、RNAを用いてマイクロアレイ解析を行った。その結果、主にこれまで報告されている破骨細胞分化や骨吸収機能に関与する遺伝子を中心にカルシウムの添加や骨基質との接触、及び細胞接着により発現変動するかどうかを比較検討した。 その結果、インテグリンにおいてはα2とβ3がカルシウムにより、α2、α5、αvとβ3が骨基質により発現上昇した。また、β3は高接着細胞で発現上昇した。その他の遺伝子ではAnxa8、C3、Pdgfa、Calcr、Nrp、Trem2、Atf3、及びAtf7がカルシウムにより、Anxa8、Pdgfa、Pdgfb、Vegfa、Vegfc、Fcgr2b、Dscr1l1、c-Fos、及びMitfが骨基質により発現上昇した。また、Atp6v0d1、Atp6v0d2、Car2、Clcn7、Mmp9、Anxa8、Pdgfb、Opn、Vegfb、Calcr、c-Fms、Dap12、Dcstamp、EphrinB2、Oscar、及びSphkは高接着細胞で高発現した。従って、骨吸収により骨基質から遊離したカルシウムなどのイオンのみならず骨基質によりインテグリンを中心とした受容体を介して破骨細胞分化と骨吸収機能に関連した遺伝子発現を制御することが分かった。
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