本研究では細胞の集団的移動を特異的に制御する分子機構を探索することを目的とした。最初にモノレイヤーカルチャーモデルとスクラッチアッセイにおいて遺伝子発現変化を検証し、leading cellで発現が上昇する候補分子を複数同定したが、肺がん組織を用いた免疫染色ではいずれもleading cellへの特異的な局在を認めなかった。次に神経芽細胞の集団移動の制御分子として知られているアクチン結合分子Girdinの結合分子として細胞間接着関連分子を同定した。細胞間接着の動態制御は細胞の集団移動の重要な特性の一つであり、本分子複合体が集団移動で重要な役割を果たすことが示唆された。
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