研究課題
「マラリアダイナミンと膜リン脂質との相互作用」予備実験によりpfDyn1、pfDyn2が強力な膜脂質変形能を示す結果を得た。リン脂質は負電荷が必要であった。今後、PfDynの結合する膜脂質を遠心法による解析を併用して同定していく。同定した膜脂質を含む人工脂質膜(リポゾーム)を用いて、膜切断、変形能を蛍光顕微鏡、電子顕微鏡で調べる。脂質結合によるGTPase活性の影響を調べるために、これまでにpfDyn2による膜変形能が確認されているリン脂質の組み合わせでGTPase活性測定条件の最適化を行った。リポゾーム存在下と非存在下で比較した。リポゾーム存在下のGTPaseの促進効果は、5分以内に観察された。今後この条件を元に、さらに酵素活性測定の最適化を行う。「マラリアダイナミンpfDyn1及びpfDyn2の細胞機能」これまでに、PfDynのマラリア原虫細胞内の機能を調べるためにPfDyn1及びPfDyn2に対する部位特異的ポリクローナル抗体を作製した。これら抗体を用い赤血球に感染したマラリア原虫におけるPfDyn1及びPfDyn2の局在を間接蛍光抗体法により調べた。pfDyn1及びpfDyn2の発現は赤血球中で分裂増殖したマラリア原虫が血中に放出される時期に高くなっていた。この時期ではマラリア原虫内でpfDyn1及びpfDyn2とも点状に局在していた。今後、特定オルガネラへの局在の可能性も含めその詳細を免疫電子顕微鏡法を併用して免疫組織化学的に調べる。
2: おおむね順調に進展している
pfDyn2に結合する膜脂質につき、各リン脂質の組み合わせを組成に持つリポゾームの形態変化からpfDyn2結合脂質の候補を絞ることが出来た。この情報により、今後生化学的解析を併用しpfDyn2への結合脂質が同定可能と考えられる。また、これまでに作製した抗体を用いた間接蛍光抗体法によりその局在、発現時期が絞れてきた。免疫電子顕微鏡を用いた詳細な局在をしらべるために、新たなタイターの強い抗体が必要であることも判明した。以上得られた結果から、研究をさらに進めるデータが多数得られた。このように、計画した研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
pfDynタンパクのリポゾームへの結合実験では、今後形態学的解析と共に生化学的解析を加えていく。また、そのマラリア原虫への局在を調べるため、間接蛍光抗体法だけでなく免疫電子顕微鏡法を活用する。このための新たな抗体調製を開始する。
今年度に配分された金額は、該当研究に効率よく使用できた。生じた助成金は290円であり試薬などの研究消耗品に対して使用するには少ない。よって、次年度効率よく使用するため繰り越した。
次年度に繰り越し、消耗品用として使用する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
PLoS One
巻: 9 ページ: e100777
10.1371/journal.pone.0100777. eCollection 2014.