研究課題
マラリアダイナミンの結合するリン脂質を同定するために、ドットブロット法を用いて調べたところ、酸性のリン脂質の多くに結合することが判明した。今後、これら結合したリン脂質に対するマラリアダイナミンの親和性をリポソーム共沈法にて検証していく。酸性リン脂質を代表するホスファチジルセリン(PS)を含む人工球状脂質膜(リポソーム)を調製し、マラリアダイナミンによる膜変形能を蛍光顕微鏡と電子顕微鏡を併用して調べた。蛍光顕微鏡観察から、マラリアダイナミンの膜結合により、特定リン脂質の顕著な偏在が起こった。リポソーム内でのリン脂質分布が、膜変形作用に重要である可能性が示唆された。マラリアダイナミンは、PSを重量比で5%以上含有するリポソームを激しくチューブ状に変形した。同様の効果は、他の酸性リン脂質を含んだリポソームを用いたときにも観察された。形成されたチューブ径は、ヒトDYN1により形成されるチューブ径よりも40%程度細かった。また、形成されたチューブ膜上のマラリアダイナミンの配向は、本実験からは判別できなかった。密度高く膜上で重合していると考えられる。そのため、さらに解像度の高いクライオ電顕を用いてタンパクの配向の観察を試みるべく試料の調製を最適化している。マラリアダイナミンは、ヌクレオチドのない状態でチューブ状にリポソームを変形させることが判明したため、今後、形成されたチューブ膜が、GTPaseにより切断されるのかを調べ、マラリアダイナミンのGTPase活性と膜変形機能の相関を調べていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
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