熱帯熱マラリア原虫が薬剤耐性を獲得する機序として抗マラリア薬投与による変異誘起の可能性を仮定し、マラリア原虫生体内の突然変異を大腸菌の系で選別するシャトルベクター系を開発した。この系を用いて、化学的突然変異誘起剤ENUならびに抗マラリア薬クロロキン(CQ)存在下で誘起される突然変異スペクトルの違いを見出したが、一方で、大腸菌生体内で不確定的に生じる突然変異と原虫のそれとの区別が煩雑であることが判明した。これを補うべく、コメットアッセイを用いて、CQ存在下でのマラリア原虫のDNA損傷を検出し、突然変異の前駆段階となるDNA損傷が起こりうる条件の選抜に有効であることを確かめた。
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