研究課題
MitoNEETファミリーは II型 糖尿病改善薬 ピオグリタゾン(アクトス)の新規標的鉄硫黄酵素であり、病原性細菌からヒトに至るまで高度に保存されている。創薬新開発の標的としての期待も高いが、国際的に焦眉な緊急課題はその「生理機能が不明」なことである。申請者らが先に作成した高度好熱菌Thermus thermophilus HB8の細菌型mitoNEET(TthNEET)遺伝子完全破壊株では、生育時「グルコース感受性」が顕著に増強されることで細胞増殖が悪化し、CES-MSメタボローム解析よりエネルギー代謝、核酸代謝系等の異常が判明している。本年度は、TthNEETにおけるmitoNEET型[2Fe-2S]クラスターの酸化還元電位変動とレドックス制御変動の相関連携を調べるため、下記研究を遂行した。(1) クラスター酸化還元電位の異なる変異酵素につき、結晶化、X線結晶構造解析を行い、ほぼ構造精密化した。(2) これらの酸化還元電位変動変異体を好熱菌TthNEET完全欠損株ゲノムに人為導入し、グルコース感受性、グルコース取り込みなどの表現型相関を調べた。(3) プルダウン解析を行い、TthNEET結合蛋白質の候補を幾つか絞りこんだ。
2: おおむね順調に進展している
変異体相同置換株の表現型解析とリコンビナント変異酵素の結晶構造は年度内にほぼ完了し、プルダウンアッセイでも候補蛋白質を絞り込むことに成功している。一方、DNAマイクロアレイ解析と二次元電気泳動によるプロテオーム解析では技術的問題があり、次年度も継続してすすめる必要がある。
今後は、DNAマイクロアレイ解析と二次元電気泳動によるプロテオーム解析における技術的問題(サンプル処理および熱安定な好熱菌蛋白質変性条件の改善など)の改善に取り組み、TthNEET遺伝子およびその産物の有無の違いによる発現プロファイル等の解析をすすめる。また、プルダウンアッセイにより絞り込んだ候補蛋白質を大腸菌で発現させ、共結晶作成と構造解析を試みる計画である。
オミックス解析、とくにプロテオーム解析が技術的な理由で進展せず、次年度に謝金で非常勤研究員を雇用する計画のため。また、本計画におけるDNAマイクロアレイ解析が、当初計画では予定していなかった国内共同研究(大阪大学グループ)により実施可能になったため。
プロテオーム解析に必要な消耗品類および非常勤研究員の研究補助費用(謝金)にあてる計画である。
新規アミノ酸要求性発現宿主株コレクションを 米国Addgeneに寄託 <http://www.nms.ac.jp/fesworld/EcoliStrains.html><https://www.addgene.org/Toshio_Iwasaki/>
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J. Biol. Inorg. Chem.
巻: 19 (Suppl 2) ページ: S845-846
巻: 19 (Suppl 2) ページ: S845
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