研究課題/領域番号 |
26670220
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川口 寧 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60292984)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | HSV / 宿主免疫回避 |
研究実績の概要 |
本研究では、研究代表者が明らかにした複数の単純ヘルペスウイルス(HSV: herpes simplex virus)の宿主細胞免疫回避機構を解除し、宿主細胞性免疫応答をより強力に惹起できる新しいHSVワクチンのプラットフォームを構築・解析する。同時に構築されるワクチンプラットフォームのさらなる改良に向けて、宿主細胞性免疫回避に関与する新規HSV因子を網羅的にスクリーニングし、より効果的なHSVワクチン開発の標的シーズを蓄積することを目指す。本年度は複数のHSVの宿主細胞性免疫回避因子に変異を導入した組換えウイルスのマウス動物モデルでの病原性およびワクチン効果を解析した。具体的には、マウス角膜炎モデル、マウス脳炎モデル、およびマウス膣炎モデルにて当該組換えウイルスの病原性を解析した。また、ワクチン効果は当該組換えウイルスを皮下接種にてワクチン後、野生体をチャレンジし、マウス角膜炎モデルおよびマウス膣炎モデルでワクチン効果を解析した。その結果、当該組換えウイルスは著しく弱毒化しており、マウス動物モデルにおいて高いワクチン効果を発揮した。また、HSV因子を網羅的に発現するプラスミドライブラリーを用いて、昨年度に引き続き、HSVの細胞性免疫回避に関与すると考えられるHSV因子をスクリーニングした。その結果、 細胞性免疫回避に関与する新規HSV因子として、HSV遺伝子発現制御因子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、複数のHSVの宿主細胞性免疫回避因子に変異を導入した組換えウイルスが高いワクチン能を発揮することを明らかにした。また、HSVの細胞性免疫回避に関与すると考えられる新規HSV因子を同定した。
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今後の研究の推進方策 |
HSVワクチンプラットフォームに関してさらに詳細なワクチン効果の解析が必要である。また、本研究で同定した新たな宿主細胞性免疫回避HSV因子への変異導入がワクチン効果へ及ぼす影響も解析することが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年同様に、研究遂行中に宿主免疫回避に関与する新規HSV因子を同定した。そのため、研究計画に加え、同定されたHSV因子の詳細な解析が必要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費、旅費、その他(論文投稿関連費)として使用予定。
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