研究課題
本研究は当初の挑戦的計画をほぼ達成することができた。B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムは約3kbと小さく、また全ての遺伝子フレームがオーバーラップしているため本来はGFPやCre遺伝子を組み込むことはできない。しかしCre遺伝子を前半部分(α-Cre:0.5kb)と後半部分(β-Cre: 0.4kb)に分断し、両者を同時発現させるとCre活性を生ずる。またHBVのPreS1プロモーターから発現するPreS蛋白の領域(0.3kb)はP遺伝子とは異なるフレームを用いて発現しているが、HBVゲノム複製には不要である。本研究ではまず、このPreS蛋白のアミノ酸配を分断Creのアミノ酸配列に置き換えながらP遺伝子フレームを温存し、PreS1プロモーターから分断Creを発現するHBVゲノムを設計・構築した。そして他方の分断Creを外から過剰発現させることによりCre活性が得られるか検討した。その結果、作製した分断Creが確かにCre活性を生ずること、その活性によりGFP遺伝子の発現がonとなり、肝由来HuH細胞がGFPにより明瞭に蛍光を発することをトランスフェクションにより確認した。またHBVゲノム上のPreS1プロモーターからβ-Creを発現させた場合の方が、α-Creを発現させた場合よりも高い蛍光が得られることを見出した。HBVゲノム複製量を可視化測定できる方法が本研究により確立されたことにより、HBVゲノムの複製を阻止する薬剤の効率的スクリーニングに道が開かれたと考える。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Experimental Animals
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1538/expanim.15-0126
Journal of General Virology
10.1099/jgv.0.000423.
Gene Therapy
巻: 22 ページ: 421-429
10.1038/gt.2014.124
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/idenshi/pg154.html