研究課題
自然免疫はウイルスや細菌の持つウイルスや細菌の持つ核酸(RNA、DNA)を認識し、I型インターフェロンや炎症性サイトカインを産生することにより病原体の排除を行う。また、こうした自然免疫応答は抗原特異的な獲得免疫の誘導にも重要な役割を果たす。一方、病原体の感染により細胞死が誘導されることが知られているが、その免疫制御における位置づけは不明な点が多い。我々はこれまで自然免疫担当細胞である樹状細胞の一部がウイルスRNA刺激により死滅し、内在性因子HMGB1を放出することを見いだした。興味深いことに、HMGB1は樹状細胞活性化をさらに増強し、ウイルスに対する獲得免疫を強化する内在性のアジュバントとして機能していた。したがって、感染に伴う宿主細胞の細胞死は獲得免疫誘導という点において重要な役割を果たしていると考えられる。本研究では、感染後に認められる自然免疫細胞の細胞死誘導機構を明らかにするとともに、死滅した細胞から放出される内在性因子を詳しく解析し、獲得免疫の成立において果たす役割を明らかにすることを目指している。そこで、自然免疫受容体に対する様々なアゴニストを用いてマウス骨髄由来樹状細胞を刺激し、その後の細胞死を解析したところ、Toll-like receptor (TLR) 7のアゴニストであるR837刺激によりマウス樹状細胞が高い割合で死滅することを見いだした。現在、R837により誘導される細胞死の詳細や、細胞死に高い感受性を示す樹状細胞のサブセットについて解析を行っている。また、他のリガンド刺激に対する細胞死についても検討を加えている。その結果、NLRP3インフラマゾームを活性化しIL-1b産生を誘導することが知られているNigerecin(放線菌由来のK+イオノフォア)により細胞死が誘導され、さらに内在性因子としてIL-33が放出されることを見いだした。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Cell Death Dis.
巻: 6 ページ: e2758
10.1038/cddis.2015.122.