研究課題/領域番号 |
26670238
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
田村 智彦 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50285144)
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研究分担者 |
黒滝 大翼 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10568455)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 造血前駆細胞 / 貪食 |
研究実績の概要 |
マクロファージ(Mφ)に代表される貪食細胞はほとんど全ての多細胞生物に存在し、生体防御及び組織恒常性の維持に必須の役割を担っている。哺乳類においても、分化した単球・Mφや樹状細胞(DC)すなわち「単核貪食細胞」の貪食機能に関しては数多くの知見が得られているが、意外にも造血の過程においてこの細胞系譜がどの分化段階から貪食能を獲得するのかは不明であった。本研究では私達の意外な予備実験結果(未発表)に基づき、単球やDCの前駆細胞が生体内で貪食能を有する可能性を検証し、その免疫学的意義を解明することを目指している。 平成26年度はまず予備実験結果と同様の実験を、まだ解析していなかった様々な前駆細胞や分化後の細胞を対象として詳細に行なった。具体的には生体内の造血幹細胞、ミエロイド系共通前駆細胞、顆粒球・単球前駆細胞、単球・DC前駆細胞、単球共通前駆細胞、DC共通前駆細胞、形質細胞様DC前駆細胞ならびに分化した単球、Mφ、樹状細胞やリンパ球を解析した。その結果、単核貪食細胞前駆細胞による貪食の可能性が、高い再現性で確認された。ただし興味深いことに形質細胞様DC前駆細胞の貪食能は否定的であった。一方、より標準的な解析である蛍光標識したリポソームの投与実験を行なったところ、前駆細胞による直接の取込みが検出できなかった。これら実験系による差異の原因としては、前者では「間接的な現象」を見ているのか、あるいは後者の実験は感度が充分でない、のいずれかが考えられる。ただし間接的であったとしても貪食能の可能性そのものは依然として残り、免疫学的にはむしろ一層興味深い。現在両方の可能性を考え、解析を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
蛍光標識リポソーム投与実験では、前駆細胞による取り込みをほとんど検出することができなかった。蛍光標識リポソームを様々な濃度、時間で用いた解析を行って確認したため、やや想定以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光リポソームは、検出感度を高めるために他の複数種類も用いて解析を試みる。当初の研究計画にも含んでいたが、死細胞を介した間接的な貪食の可能性を検討することが重要と考えている。その結果に応じて、分化・応答における免疫学的意義を追求する。
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