研究課題/領域番号 |
26670240
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
近藤 元就 東邦大学, 医学部, 教授 (20594344)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SATB1 / 免疫寛容 / 自己免疫 |
研究実績の概要 |
本研究では、自己免疫傾向にあるSpecial AT-rich binding protein1 (SATB1) 遺伝子欠損マウスが実験的自己免疫性脳脊髄炎 (Experimental autoimmune encephalomyelitis, EAE) 抵抗性であることに着目し、免疫寛容の未知分子基盤の解明を目指した。野生型マウスにMyelin oligodendrocyte glycoprotein (MOG) ペプチドをフロイント完全アジュバントと混合し皮下免疫と同時に、免疫当日と2日後に百日咳菌毒素を静脈内投与することにより、EAEを発症させた。免役後10日目の野生型マウス所属リンパ節細胞を採取し、培養液中でMOGペプチドの再刺激を行った後、野生型又はVav-ΔSATB1マウス(血球系細胞特異的にSATB1遺伝子を欠損するコンディショナルノックアウトマウス)に養子移入を行いEAEの誘導を試みた。その結果、野生型に比べて発症に1週間程度の遅れがあるものの、Vav-ΔSATB1マウスでもEAEは発症し、EAEスコアも野生型と比べて有意な差は認められなかった。この結果より、MOGペプチド特異的に反応するエフェクターT細胞が適性量存在すれば、Vav-ΔSATB1マウスにおいてもEAEが発症することが明らかとなった。 Vav-ΔSATB1マウスでのEAE抵抗性は、胸腺内でのT細胞レパトア形成不全による可能性が考えられた。MOG特異的T細胞レセプターを発現するT細胞の存在下での、SATB1機能を解析する目的で、MOG特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウス(2D2)とVav-ΔSATB1マウス、さらにER-Creマウス(腹腔へのタモキシフェン処理により、STB1遺伝子発現を制御できるマウス)間での交配を行った。現段階では実験に使用できるマウスが調いつつある状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学にある動物センターの空調改修工事が昨年度末まで行われた為、初年度にマウスの飼育規模を期限つきで縮小せねばならず、トランスジェニックマウスの交配が計画通り進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度に引き続きVav-ΔSATB1マウスと2D2マウス、ER-Creマウス間での交配を進め、実験に使用出来るマウスの数が調った時点でEAEの誘導を試み、解析を行う。さらに、当初からの計画であった、2D2マウスでの誘導型EAE発症時の末梢のヘルパーT細胞の機能解析、さらに2D2マウスでの自発型EAEおよび眼神経炎(Optic neuritis,ON)についての解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスを飼育している動物センターの空調整備工事により、飼育規模が期限付きで縮小された。そのため交配効率の低下が認められ、実験に使用予定のマウスが調わなかった。したがって予定の実験が行えず、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度より、マウスの飼育規模の拡大が可能になったので、交配用マウスを増やし飼育を始めている。マウスの準備が出来次第、計画していた解析を行う。
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