研究課題
現在、抗原を飲ませることで腸管や体内での免疫応答を誘導しようとする経口ワクチンの開発が進められており、感染症などに対する次世代ワクチンとして期待されている。従来のワクチンと同様、粘膜ワクチンにおいても免疫の記憶(メモリー)を誘導することが重要である。これまでの経口ワクチンの開発研究におけるワクチン抗原に対する免疫応答の解析から、粘膜組織での生体防御を担う主要エフェクター分子として機能するIgA抗体においても、メモリー反応は誘導されていることが示されているが、その誘導、維持に関わる機序は未解明である。本研究では粘膜ワクチンに対する腸管でのIgA抗体応答に焦点をあて、免疫メモリーに関する研究を遂行している。本事業の初年度にあたる平成26年度は、IgA細胞を分離し、各種細胞表面マーカーで複数のサブセットに分類し、IgAメモリーを担うであろうと予想されるサブセットを同定した。さらにニトロフェニルをマーカーに抗原特異的なIgA細胞を検出する技術を導入し、抗原の特異性を加味した解析方法を確立した。さらにリンパ球を持たないSCIDマウスにこれらの細胞サブセットを養子移入し、メモリー応答を再構築する系も併せて確立した。これらの検討により、今後、腸管IgAメモリー応答を担う分子、細胞、個体レベルでの解析基盤が構築出来たことから、今後はこれらの技術を活用し、腸管でのIgAメモリー応答の実態を解明していく。
2: おおむね順調に進展している
本研究では当初予定していた研究を予定通り遂行することができ、候補サブセットの同定、解析技術の導入を行うことができた。このことから順調に研究が進展していると考える。
上記のように予定通り研究を遂行できていることから、引き続き研究を遂行する。
一部、細胞の検出に用いた試薬の変更をすることとなったが、在庫の関係から当初予定していた量の全ては年度内に入手できなかったため
在庫が揃い次第、購入し使用予定
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 13件)
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