研究課題/領域番号 |
26670245
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
柄谷 和宏 福井大学, ライフサイエンス支援センター, 助教 (70233997)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医学教育 / 大学院教育 / 個別化医療 / バイオインフォマティクス / 網羅的解析 / 大学間連携 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究実績から、NCBI GEOを検索し選んだデータを、マルチオミクス管理ソフトSubriumを利用しつつパスウエイ解析ソフトIPAによりシミュレーションを行う形式で「研究シミュレーション」の実施手順を確立した。大学院教育の現場でこの形式の研究シミュレーション実習の適用と実施数の拡大を目指し、平成27年度は「医学系大学院教育カリキュラムの中での実験的実施」「大学間連携を利用した実施枠の拡大」の2点に重点をおき研究を進めた。 教育現場での実験的実施: 福井大学医学系研究科博士課程、統合先進医学専攻共通科目の「実験基礎演習」の選択実習に「ワークショップ:研究シミュレーション」を設定し、参加者の募集をした。合計4名の募集に対し、定員いっぱいの応募があり、応募者全員に対して研究シミュレーションを実施した。参加者については実施後アンケートをとり、良好な教育効果を示す結果が得られている。また参加者のパスウエイ解析ソフト再利用率が劇的に上昇しており、アンケートで示された教育効果の裏付けもとることができた。 大学間連携を利用した実施枠の拡大: 福井大学内での実施で得られるサンプル数が限られることがはっきりしてきたこともあり、他大学大学院の教育現場へ拡大していく来年度の作業計画を前倒しして、大学間連携による実習実施の枠組みつくりを始めた。「解析の技術導入のための大学横断的教育の確立」をテーマとして日教弘本部奨励金の獲得に成功し、国立大学法人生命科学研究機器施設協議会の参加校を対象にした技術研修会開催から、相互支援サービスの仕組みを再生した。他大学での研究シミュレーションの実験的な試行は、この仕組みを利用して今後行う。組織再生の議論の過程で、遠隔医療ネットワークを利用した遠隔授業の可能性も提示されており、平成28年度の試験的な実施にむけ、システムの確立、大学間の話し合いを現在も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここまでの研究シミュレーション実施数は、当初の予定に比べ少ないのが現状であるが、大学院教育の実習としての研究シミュレーションのプログラムはほぼ完成したと考えている。しかし、福井大学の大学院生数や規模から考えて28年度も当初の実施予定数を下回るのは避けられないと考えられるため、当初は28年度の活動予定としていた他大学への研究シミュレーション実施拡大の模索を、予定を前倒しして始めた。福井大学外への展開のためには研究シミュレーションを行う大学間の協力体制が不可欠で、国立大学法人生命科学研究機器施設協議会の組織の一部を再整備するところから始めた。日教弘本部奨励金の助成を受けることができて実施した大学横断型技術研修会の成果もあり、協議会参加校の協力が得られる目途がたつところまで進展した。この点は当初の予定と比べて進展があった点であり、今後の研究シミュレーション実施拡大を進めるうえで重要なステップになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度も「医学系大学院教育現場での実験的実施」「大学間連携を利用した実施枠の拡大」の2方向での推進を予定している。 教育現場での実験的実施: 今年度も福井大学医学系研究科博士課程「実験基礎演習」にワークショップ「研究シミュレーション」を設定し、選択科目の実習として募集予定。昨年度は定員数を設けたが、定員枠を設けず受付を予定している。学内大学院生の数に限りがあるため、学内研究者にも希望者向けに「研究シミュレーション」を実施する。研究者向け研究シミュレーションは教育効果よりも実習プログラムの改善を目的として行うものである。 大学間連携を利用した実施枠の拡大: 昨年度実施の大学横断型技術研修会後の議論の流れから、旭川医科大学の遠隔医療システムによる技術交流の実施を検討している。試験的な配信実験時に旭川医科大学の希望者との研究シミュレーション実施を予定しており、大学間で容易に実施するための技術確立を行う。また、大学間連携を行うための相互支援サービス広報、連絡の手段が現在はないため、研究シミュレーション、相互支援サービス、技術研修会のためのホームページを立ち上げ、運用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
事務手続き上の理由で年度末及び年度初めに予算の空白期間ができるが、以下の2つの点でこの期間にも研究費を使用する必要がある。 1つはこの期間中も研究シミュレーション参加者募集を継続しており、希望者への実習実施に研究費が必要なこと。もう一つは、大学間連携による研究シミュレーションの実施のための広報、募集のためにホームページを作成、運用を予定しており、専属の人員を確保し、その人件費として使用するためである。
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次年度使用額の使用計画 |
年度末、年度初めの研究シミュレーション実施について:大学院生向けの実習は継続して参加希望者を募集している。平成28年度から学内研究者向けの案内も開始しており、昨年度より多くの実習希望者に対応できる研究費の確保が必要と考えている。 広報用ホームページの作成、運用について:学外向けの案内、広報の場の迅速な確保は差し迫って解決すべき課題である。申請者にこの分野の専門知識はなく、所属部署内にも適切な人材がいないため、外部の人材を探し作業を依頼することにした。作成だけでなく年度内の安定した運用とプロジェクトの進行に伴う変更を継続して行うため、週一回3時間の作業時間を確保する人件費の支出を予定している。条件に合致した人材も見つかっており、できるだけ早い作業開始の依頼を考えている。
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備考 |
第33回国立大学法人生命科学研究機器施設協議会で発表した2題の内容は、「DNAアレイ編」研修会報告の項に掲載。28年度は研究シミュレーションを中心としたホームページを作成し、上記ホームページはそちらに移行予定。
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