研究課題/領域番号 |
26670250
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
石埜 正穂 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30232325)
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研究分担者 |
飯田 香緒里 東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90570755)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医療 / 他家移植 / アロ細胞 / 法制度 / 仲介機関 |
研究実績の概要 |
本年度はまず現状の把握として各種ヒアリングを行った。iPS細胞ストック樹立のための臍帯バンクの活用を試みている神戸先端医療財団の川真田伸博士、GVHD治療細胞医薬プロキマルの開発に従事しているJCRの毛利善一氏、自家培養軟骨ジャックの開発を行ったJ-TECの菅原桂氏を訪問し、情報交換とディスカッション行った。また、産学連携学会、レギュラトリーサイエンス学会、再生医療学会に参加して情報収集を行った。その中で、他家材料の活用に関する法律の存在、および日本赤十字社のような「仲介機関」の存在が、特に倫理的・意識的な障壁を乗り越えるためには必須であり、また、安全性や品質の担保、ドナーや医療機関の負担軽減・インセンティブ確保のためにも中核的な位置づけになるとの認識に至った。一方、本研究提案時以降、きわめて短期間のうちに、再生医療の研究開発の動向や、それを取り巻く環境が著しく変化してきた。技術的には、MSCの細胞治療の研究開発が益々盛んになっている中、骨髄等の自家幹細胞の使用よりも、むしろ臍帯や羊膜の他家幹細胞の活用に関する技術的期待が急速に高まっていることが認識された。26年度末には経済産業省製造産業局生物化学産業課により「再生医療の産業化に向けた原料細胞の入手等に関する有識者研究会」が立ち上がり、本研究課題と重複した内容、すなわち他家材料を使用する再生医療の実現における課題に関する調査が行われた。一方同じく26年度末に、RISTEX科学技術イノベーション政策のための科学研究開発プログラム「科学技術イノベーション政策と補完的な政策・制度整備の政策提言」の受託研究プロジェクト中の再生医療グループにおいて、他家材料を用いた再生医療の今後の動向について検討する必要性から、本研究組織への協力要請があった。これらは来年度以降の本研究の方向性を決定づけるものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
26年度には必要なヒアリング等の情報収集を精力的に行い、一連の課題の抽出を行うことができた。しかし、課題解決の方法の検討に関して、海外、特に米国において他家細胞治療が進んでいる中、これらの治療材料をボランティアベースで取得する枠組みやシステムについてどうしても調べておく必要がある。26年度には米国のFDAや実施企業などを訪問して情報収集すべくコンタクトを試みたが、結局実現しなかった。27年度にはRISTEXのリソースも活用してこれをまず実現させたい。
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今後の研究の推進方策 |
「再生医療の産業化に向けた原料細胞の入手等に関する有識者研究会」の成果と重なる部分の検討は避け、逆にそこで積み残された多くの課題の中から、特に法律と仲介機関の枠組みのあり方にかかわる部分を抽出して検討する。特に、「科学技術イノベーション政策と補完的な政策・制度整備の政策提言」受託研究プロジェクトへの協力を介して、当研究組織におけるリソースを活用して海外でのヒアリングを実現させ、検討の材料とする。また、関係者によるクローズドのミーティングを開催する。最終的には、他家移植の実現に向け内在する課題を整理するともに、解決の方向性について一定の提言を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外、特に米国において他家細胞治療が進んでいるが、これらの治療材料をボランティアベースで取得する枠組みについては不明な点が多く、FDAや実施企業などを訪問して情報収集する必要性がある。26年度中にこれを実現すべくコンタクトを試みたが、結局実現しなかった。このため、海外旅費を中心に次年度に持ち越さざるを得なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
6月に米国出張(ユタ州を検討中)を予定している。 10月頃に関係者を集めたミーティング(東京)を予定している。
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