研究課題/領域番号 |
26670251
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
橋本 明 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (40208442)
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研究分担者 |
中村 治 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10189029)
新宮 一成 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (20144404)
板原 和子 大阪体育大学, 健康福祉学部, 教授 (50390175)
宇都宮 みのり 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (80367573)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 精神医療史 / 精神医学史 / 医学史 / 私宅監置 / 精神保健福祉 / 博物館 / 医史学 |
研究実績の概要 |
平成26年度に重点的に取り組んだことは、本研究で構想してきた精神医療史の「移動型ミュージアム」(のパイロット・スタディ)である。その第1回目として、11月12~14日に韓国のソウルにある人権団体のビルで「私宅監置と日本の精神医療史」展を開催した。その際、「私宅監置と日本の精神医療史」を説明する写真や図入りの韓国語のパネルを10枚作成し、同ビルにあるギャラリーに展示した。また、展示内容をやや詳細に説明したA4サイズの韓国語パンフレット(24ページ)を配布した。11月14日の午後には同ビルの会議室で、「日本の精神医療の歴史と現状」と題する講演を行い、参加者と日本や韓国の精神医療に関する意見交換も行った。 なお、ソウルでの展示会のノウハウを継承する形で、平成27年度には早稲田大学のワセダギャラリーで第2回目の「私宅監置と日本の精神医療史」展を予定している。この国内で最初の企画展では、ソウルと同様に写真・図とその解説を付したパネルを展示すると同時に、パネルの内容をさらに詳しく解説したパンフレットの配布を行い、展示の解説をするギャラリートークも予定している。 また、それに先立つ5月には、ベルギーのラークダル(Laakdal)で開催されたシンポジウム(Symposium OPZ Geel; Community care: Foster family care as an inspiring model)に出席し、精神医療に関わる国際的な動向を視察すると同時に、会議を主催するOPZ Geel(ゲール公立精神医学ケアセンター)が設置準備中の精神医学ミュージアムに関して、担当者から情報を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の計画では、精神医療や精神保健福祉の基本的な歴史に関するプレゼンテーション・ツールの作成、および教育機関でのプレゼンテーションの実施などを挙げていた。当初の計画からやや外れるものの、国外(韓国)においてわが国の精神医療史に関わる展示とプレゼンテーションの実施にこぎつけることができたのは予想外の進展であり、今後の国内外での同様の「移動型ミュージアム」の先行モデルとすることができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はなお、上述したように、東京のワセダギャラリーで第2回目の「私宅監置と日本の精神医療史」展、パンフレットの配布を行い、展示の解説をするギャラリートークも予定している。この準備は前年度から進めてきているが、実施に至るまで、および実施中の諸問題を整理しながら、より効果的な展示方法や展示運営方法を追究していく。ソウルおよび東京での実績をもとに、精神医療および精神保健福祉の基本的な歴史に関する教材を整備し、さらに国内外でのプレゼンテーションを推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が出た主たる理由は、「移動展示ミュージアム」に関わる物品費や旅費の節減に努めた結果であり、これらは次年度に積み増すこととなった。また、諸般の事情から一部分担者との連携が不十分であったため生じた残額も、次年度の研究計画のなかで使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、6月に東京のワセダギャラリーで開催を予定している「私宅監置と日本の精神医療史」展の準備に係る支出(展示パネル、パンフレット制作のための物品費、移動のための旅費など)が決まっている。また、次年度の展示会場の選定に関わる旅費(東アジア地域を予定している)、および、精神医療史に関わる教材開発のための資料収集旅費(国内)および展示や教材に関わる物品費等の支出を計画している。
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