研究課題/領域番号 |
26670252
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
小山 秀夫 兵庫県立大学, 経営研究科, 教授 (90360693)
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研究分担者 |
藤澤 由和 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (70387330)
水野 信也 静岡理工科大学, 総合技術研究所, 客員准教授 (60714524)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療社会学 / 医療行動学 / 経験評価 / 医療行為 / 患者 |
研究実績の概要 |
本研究の全体構想は、患者の医療行為に対する経験評価を基盤として、医療の質の改善において有用となる方法論と制度的環境を具体的に提示することにより、患者の視点に基づく、より広い視座からの医療制度を再構築することにある。そこで本研究は、海外での先進的な知見を踏まえながらも、我が国の社会的、文化的、制度的なコンテクストに適合的な形で、医療の受け手である患者らが、医療行為に対する経験から評価しうるための方法論の検討、およびこの方法論に基づいた試行的なデータ構築とその実証的な検証を目的とした。 内容としては、まず先行研究の系統的レビューに関して再検討を実施し、患者による医療行為の経験評価の理論的概念および方法論における論点を再度確認した。具体的には、患者の経験評価を軸に既存の先行研究に関して系統的レビューを実施した。また患者満足度に関する研究においても同様のプロセスにより実施した。さらに海外共同研究者らと、当該課題に関する最新の情報に関しての意見交換などを実施した。さらに我が国における患者の医療サービスの経験評価に関する研究についても医学中央雑誌データベースを用いて同様のプロセスで再検討を実施した。 これらの作業により集約された先行研究に関する情報については、調査対象者(サンプリングの方法も含む)、調査方法、質問項目などを主要項目として作成した共通のフォーマットを用いて各先行研究の比較検証が可能となる形で検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画において予定していた内容は、実施済のため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降においては、調査を実施するに際して、当該研究課題に関するデータ構築を中心に行なう。具体的には、フォーカスグループなどを併用し、前年実施の先行研究に関する知見を踏まえ、研究組織全体で調査項目を協議し決定する。また質問項目は、バックトランスレーションを行い、日本版の質問項目としての有用性を確保する。 さらに作成された調査票を用いて、調査を実施する。調査対象者は、入院患者とし、サンプル数に関しては、内諾を得た医療機関との調整を行い確定する。調査票の配布は、研究目的を書面によって説明した後に調査への了承を得た患者に対して配布を行い、調査票の回収は返信用封筒により郵送で求める。 回収した調査票はデータ化した後、まずは各質問項目で単純集計を行い、回答傾向に著しいばらつきが示された質問項目を抽出し、ワーディングなどの観点から内容的な妥当性の検証を行う。一定の妥当性が確認された質問項目に関しては、回答分布が著しく良好な数値を示す質問項目などを抽出し、各協力医療機関の関係者らと議論し、回答傾向と現状の医療の提供体制との現状分析を行う。 また患者の経験による医療行為の評価という枠組みを制度的なレベルにおいて検討を行うために、厚生労働省、各病院協会、県医師会などにおいて、関連する担当者らと、本研究の概要と知見に関して意見を求めるためのヒヤリングを実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査実施に想定以上の経費が必要されることが見込まれたため、当該年度の作業を効率化したため。
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次年度使用額の使用計画 |
調査実施の際の諸費用。
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