研究課題/領域番号 |
26670258
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
石渡 俊二 近畿大学, 薬学部, 准教授 (20301054)
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研究分担者 |
北小路 学 近畿大学, 薬学部, 准教授 (20411580)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 災害 / 医薬品 / 需要予測 / ロジスティクス |
研究実績の概要 |
本研究は、災害などによって医薬品供給が混乱した場合を想定し、1)被災した医療圏において不足する医薬品の時期と量を明らかにすることと、2)災害時におこる医薬品供給の混乱を最小限に抑える方法を考案することを目的とする。当初の計画に従って、平成26年度は、まず医薬品の需給を管理するために必要な医薬品成分名寄せシステムの開発とこれを用いた医薬品需要の把握を行った。医薬品成分名寄せシステムの開発にあたっては、「医薬品HOTコードマスター」と「使用薬剤の薬価に収載されている医薬品について」を結合および加工し、成分名での検索が可能なデータベースを作成した。地理的に周囲の医療圏の影響を受けにくい和歌山県新宮市の薬局を対象として、先に開発したデータベースを用いて医薬品成分の名寄せを行って解析した。その結果、医薬品供給が停止した条件下では、長期間にわたって投与されることが多い循環器病薬や向精神薬が早い時期に欠乏することが明らかになった。さらに対象となる施設を拡大し、当該地域において欠乏しやすい医薬品の種類と時期を推定していく予定である。一方、災害時に医薬品供給を円滑に行う方法として、バーコードでの入力が可能で、ジェネリック医薬品も使用しやすく、情報がクラウドで管理できるシステムの構築にも着手している。本システムによって、被災地の医薬品動向が支援地でも把握することでき、また被災地の仮設診療所などで必ず行われてきた医薬品リストも簡便に作製できるようになるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上にも記したとおり、本研究は、災害などによって医薬品供給が混乱した場合を想定し、1)被災した医療圏において不足する医薬品の時期と量を明らかにすることと、2)災害時におこる医薬品供給の混乱を最小限に抑える方法を考案することを目的としている。 研究初年度である平成26年度には、 1.医薬品成分名寄せシステムの開発、2.医療圏内医薬品需要量の把握、3.医療圏内医薬品在庫量の把握 、4.医薬品出納管理システムの開発 を行うことを予定していたが、これまでにこれら全てに着手している。特に、1.については既に完成しており、これを用いて2~4の解析を行っている。2と3については小数例の医療機関で需要量と在庫量を調査済みである。4についても順調に進展したため、この内容について日本集団災害医学会で発表し、論文の寄稿依頼を受けている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところ、本研究は当初の計画通りに順調に進展しており、特に障害となるような問題は見あたらない。平成27年度も計画通りに研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の当初計画では打合せなどのために旅費を予定したが、ネット電話の利用などによってこの費用が圧縮された。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度には旅費を圧縮したため、対面での打合せや調査は最小限の範囲になっていた。今年度は完成年度のため密に打合せを行う必要があり、この分に必要な経費として使用する予定である。また、医療従事者に対するアンケートなども計画しており、このための費用にも充当することを計画している。
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