研究課題
本年度は、本格的な検診に関する選好を、コンジョイント分析(Discrete Choice Experiment、DCE)により検討する前の基礎情報の収集と一般的な手法の確認作業を行った。連携研究者とともに、DCEの方法論の確認や選択肢などについて検討するために、インターネットを介した会議を数回定期的に行い情報の収集を行った。また、研究目的を達成するためには何をどのように質問すべきかの検討を行った。また、検診の受療に関するDCEを使った選好同定に関する先行研究を検討したが、大腸がん検診、前立腺がん検診において研究が散見されたものの、検診の精度指標、例えば何%のがんが見つかるのか(陽性的中率や感度)、見逃しはどの程度あるのか(陰性的中率や特異度)を変数として検討を加えた研究は存在しなかった。おそらく、対象者の理解が困難であることが予想されるために実験として行われることが少ないことが予想されるが、検診を対策型の形で制度化するには、これらの変数に関する検証が必要と考えた。また検診を開始すべき年齢がどの程度なのか、またどの程度までと考えるべきなのか、についても検討が必要であると考えられたが、そのためにはがんの有病率が年齢で変化することから、検診の種類によって感度特異度が決定したら、シナリオを作りやすいことから(「受診者の何割でのがんが見つかると思われます」など。)そのような調査方法が可能であると考えられた。
3: やや遅れている
検診の選好についての知見は、検診の精度性能というよりも利便性に焦点を当てた研究が多い。精度性能の理解を検証する必要がある。先行事例がない事例について妥当な研究を行うために、慎重に情報を収集する必要がある。そこで理解検証については焦点を絞る必要があり、検討に時間がかかった。
引き続き情報を収集して、検診の精度指標に関して実際に紙ベースでの検診精度指標の理解可能性について、パイロットテストを行うなど、対象者の理解可能性を検討することで、Discrete Choice Experimentにおいて検討する変数を確定する。平成27年度中にDCEの具体的手順を確定して、実行に移す。平成28年度は解析と全体のまとめとする。
本年度中に、がん検診の精度変数の理解に関する調査を行うことを計画していたが、基礎情報の収集に時間がかかったことと、また、予算上、予定していた調査を行うためには、1年次の予算だけでは不足することがあきらかになり、質問項目を限って限界のある調査を行うか、繰り越して次年度予算と一緒により妥当性のる調査を行うかの選択を迫られた。ただ、いずれにせよ慎重に時間をかけて項目を選ぶ必要性が生じ、そのために時間的に実際の調査が今年度にずれ込んだため繰り越しが生じている。本年度の予算とともに費用を調節して使用できれば、質問項目に自由度が生ずると想定している。
今年度前半で、がん検診の精度変数の理解に関する調査を行う。そのためのパイロットとしての予備調査、本調査において、当該分を利用する予定としている。現時点ではインターネット調査を予定しているが、予算額などにより困難であれば、郵送調査の可能性もあり、現在調整中である。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うちオープンアクセス 8件)
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