研究課題
前年度に実施した文献検討を基に、がん検診の効果・弊害の指標として死亡数、(過剰診断を含む)がん診断数、偽陽性数を抽出した。それらについての理解度と各種要素のパラメータ-を動かすことにより検診に対する選好が変わるかについて検討するため、国立がん研究センター・患者市民パネル10名程度にインタビュー調査を実施した。インタビュー調査の結果、過剰診断の概念が非常にわかりにくく誤解を招きやすいものであること、また、各種要素の数値を動かしても選考にはほとんど影響がない可能性が示唆された。しかし、調査の対象となった患者・市民パネルの方々が近親者またはご本人ががん患者である可能性が高く、選考にはバイアスがかかった可能性を考慮し、各種要素のパラメーターを動かすことにより検診への選考に影響があると仮定し一般の人々に対するWeb調査を実施することとした。インタビュー調査の結果から近親者にがん患者がいることが選考に影響する可能性が大いに示唆されたため、ベースラインの質問として近親者のがん患者の有無を新たに盛り込むこととした。また、Web調査に回答できるのは、過剰診断の概念理解を含んだ事前チェック問題の合格者のみとした。がん検診の死亡数、(過剰診断を含む)がん診断数、偽陽性数について、40,50,60台にわけてそれぞれ4つの数値を用意し、それらを組み合わせた3択問題18台を約1000名のインターネット調査会社によるWeb調査とした。Web調査は2回にわたって異なる対象者に対し行われ、1回目は数値のみを表のかたちで表示し回答者に選択してもらう調査、2回目は数値と図を表示し3選択肢をより可視化できる状態で回答者に選択してもらう調査とした。結果から、どのような数値を提示されても検診を絶対に受けない人々が一定程度おり、その数は調査1では全体の16%、調査2では19%いることがわかった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
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