研究課題/領域番号 |
26670264
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
福島 敬 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30323299)
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研究分担者 |
三輪 佳宏 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70263845)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 全長型第VIII血液凝固因子 / 遺伝子治療 / 血友病 / RNAベクター |
研究実績の概要 |
新規RNAベクターを用いて、完全型(全長型)のヒト第VIII血液凝固因子遺伝子を用いても、Bドメイン欠失型遺伝子を用いた対照実験と同等に、標的細胞に遺伝子の導入が可能であり、更に培養上清中に安定的に第VIII血液凝固因子を分泌させることが可能であることを確認した。全長型第VIII血液凝固因子をこのように取り扱うことは、従来は全く不可能であった。 上記は、「ヒト細胞ーヒト第VIII血液凝固因子」、および「マウス細胞ーマウス第VIII血液凝固因子」のいずれの組合せでも可能であることを確認した。 更に、この培養上清を血友病Aマウスに投与することによって薬理効果を確認することができ、細胞から分泌されたタンパクが正常な凝固能を有することが証明された。同時に、複数の投与経路を比較検討して、効率の良い安定した投与経路を検討した結果、静脈注射または腹腔内注射が実用的であることを確認した。 生体イメージング技術を応用して、マウスを生存させたままで遺伝子導入細胞の生体内動態を追跡する手法を、新規RNAベクターを用いたシステムでも実施可能であることを確認した。近赤外蛍光蛋白であるiRFPの遺伝子をRNAベクターに搭載し、マウスに局所投与した後、投与部位に蛍光を検出することが可能であることを確認した。更に、培養系でRNAベクターを用いてiRFPを発現させた細胞をマウスに移植しても、蛍光の検出が可能であった。 生着促進・長期維持のための手法として、PDL1他の遺伝子を同時に搭載したRNAベクターを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第VIII血液凝固因子を分泌する細胞を血友病Aマウスに移植した後、マウス血中への第VIII血液凝固因子の活性検出が不十分であり、使用する細胞、移植方法、生着促進方法など、検討中である。この工夫がうまくいけば、いっそうの進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験によって、第VIII血液凝固因子を分泌する細胞を血友病Aマウスに移植して薬理効果を検証する。使用する細胞の種類、移植方法(細胞数や場所、足場など)、生着促進方法を検討する。同時に生着した細胞が長期的に機能するための条件を検討する。 ヒト細胞にヒト第VIII血液凝固因子遺伝子を効率よく分泌させるための検討は、主に培養系において実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
経費の有効利用に心がけた結果として、当初の計画より支出が抑制された結果、3,948円の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の研究において物品購入に充てる。
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