研究課題/領域番号 |
26670266
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00547870)
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研究分担者 |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30171432)
西川 元也 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40273437)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エキソソーム / ラジオアイソトープ / DDS / SELEX法 |
研究実績の概要 |
本研究ではexosome体内動態の定量的解析法の開発を目的に、streptavidin (SAV) とexosome局在性タンパク質であるlactadherin (LA)との融合タンパク質 (SAV-LA)を設計し、streptavidin-biotin結合を利用したexosome放射標識法の開発を試みた。マウスメラノーマB16-BL6細胞にSAV-LA発現プラスミドを導入したところ、回収したexosome上にSAVが存在することをTEM観察により確認した。このexosomeを 125Iのビオチン誘導体と混合することで放射標識exosomeを得た。そこで、放射標識exosomeをマウス尾静脈内に投与したところ、投与4時間後には投与量の約10、40、5 %の放射活性が肺および肝臓、脾臓に集積した。以上、exosomeの体内動態について定量的な評価方法の開発に成功した。 ExosomeへRNAを効率よく封入する方法の開発についても検討した。細胞内でexosomeに効率よく移行するRNAは、目的の治療用のRNAと連結することでそのRNAのexosomeへの封入効率を改善可能であることが期待できる。そこで、exosomeへの効率的なRNA封入法の開発を目的に、SELEX法を用いてexosomeに効率良く移行するRNAを探索した。10の13乗種のRNAからなるRNAプールを導入したB16-BL6細胞からexosomeを回収し、抽出したRNAをもとにRT-PCR法とin vitro転写によりRNAプールを得た。大腸菌を用いて選別が進んだRNAプールの配列を解析した結果、56コロニーから26種類の配列が得られ、29コロニーで同一配列のRNAが確認された。この同一配列のRNAは、細胞に導入後、最も高いexosome移行性を示し、exosome移行性RNAとして利用できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Exosome体内動態の定量的解析方法の開発に成功したことから、今後のexosomeの体内動態制御方法の開発研究の推進が期待できる。また、exosomeへ高効率に移行可能なRNA配列を見出したことから、exosomeに治療用のRNAを効率よく封入可能な方法の開発に利用可能であることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、exosomeへのRNA封入の方策について、SELEX法によって見出されたexosome移行性配列について、その配列を利用した治療用RNAのexosome封入効率の改善の可能性について検討を行う。また、exosomeの体内動態の制御の可能性についても検討する。
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