アンジオテンシンII(AngII)ワクチンにより高血圧ラットでの血圧の有意な低下、血中AngII濃度の低下、マウスへのAngIIの持続注入に対して心重量の低下・血管周囲の繊維化抑制が確認できている。マイクロミニブタを用いた2kidney1clip Goldblatt型腎性高血圧モデルでの検討を行った。ブタの麻酔下で腹部を切開し左腎動脈を剥離露出し、腎動脈に血流量測定用のプローブを装着し、矩形波電磁血流量計を介して腎動脈血流量を測定した。腎動脈にシルバークリップを装着し、腎動脈血流量を確認しながらシルバークリップ装着前より約90%減少するまで狭窄の程度を調整した。同時に頸動脈に送信機を埋め込み、1ヶ月間24時間血圧で観察したところ、高血圧の状態が維持できており、さらに日内変動の解析に必要な連続256心拍データが安定して取得できることが分かった。デバイスに関しては、株式会社ダイセルが開発中のプロトタイプのガス制御式無針注射器は、火薬の量を調節することによりマウス・ラットなどの小動物においても皮内・皮下・筋肉などの標的箇所に正確な薬液量を注入可能なデバイスである。それぞれ深さに到達できる設定の無針注射器を用いてマウス皮膚および筋肉にLuciferase遺伝子を局所発現させたところ、皮内投与設定での皮膚で最も効率よく遺伝子を発現させることができた。同様の結果はGFP遺伝子でも確認できた。今後は薬液量・濃度・火薬量を調整することで最適な無針注射器へと改良させていく。
|