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2014 年度 実施状況報告書

実験動物の顔表情・姿勢による悪心解析用システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 26670268
研究機関大阪大学

研究代表者

山本 浩一  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40362694)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード悪心 / 表情 / モニター / ラット
研究実績の概要

人間が悪心を感じた場合は自分自身でその強度を記入してもらうことで重症度を判定するが、この方法では個人の主観が入り客観評価できない。また、言葉を発しない動物ではこの方法を用いることができないため、客観的だけでなく、他覚的判定すらできない。ところで、催吐刺激後のラットを観察していると、つらそうな表情を示す。これらは「眠さ」や「痛み」を示すものとは違い、何かを耐えているようだと感じた。そこで、ラットの「顔表情」を画像情報としてモニターし、特徴的な条件を抽出することで悪心を認識できるのではないかと考えた。今回の研究では「眼の形状」に着目した。ラットは夜行性であるため、夜間(暗期)には目を大きく見開き、周囲環境の観察や摂餌行動をおこなうが、悪心を感じると眼形状をひずませることが多かった。
アクリル製ケージにラットを入れ、実験環境に馴化させた。馴化期間中から顔面を赤外線カメラにて撮影し、記録した映像から開眼頻度と閉眼頻度を求めた。馴化期間終了後、ラットに抗がん剤のシスプラチンを3mg/kgを投与した。シスプラチンは子宮・卵巣・睾丸・肺がんの治療に用いられる白金製剤系抗がん剤で、投与された患者さんの8割が悪心や嘔吐を惹起するなど強度の催吐作用を有する。その結果、シスプラチン投与後6-12時間の間に閉眼頻度が高くなった。次に治療介入した場合にラット表情にどのような影響が現れるかを検討するため、抗がん剤による悪心・嘔吐の治療薬として第1選択される5-HT3受容体遮断薬のグラニセトロンを前投与した。その結果、グラニセトロンの前投与はシスプラチンによる閉眼頻度の増加を抑制できた。
以上の結果から、ラットの開眼・閉眼頻度をモニターすることで悪心を評価できることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた悪心モデルの作成、顔表情記録システムの構築、ならびに悪心の評価システムをおおむね構築できたことから、「研究の目的」と照らし合わせると、平成26年度に行った研究は順調に伸展していると思われる。

今後の研究の推進方策

悪心を感じれば閉眼頻度は増加するが、外見だけでは睡眠状態である可能性も否定できない。このため、脳波活動パターンを記録・解析し、ラットが睡眠しているものではないことを証明する必要がある。このための計測システムが必要であると考えている。
また、ラットでのシステム構築に成功できれば、マウスにおいても同様に顔表情・姿勢データの取得、クラス分け・悪心スコア化システム構築を進めていく。ラットより眼球が小さいため、認識が困難であるかもしれないが、ラットで得られたノウハウがあれば、短期間でシステム構築が可能と考えている。このシステムが可能となれば、発症に関連する受容体欠損マウスを用いた実験を試みる。
さらに、嘔吐の研究に頻繁に用いられているスンクス(ジャコウネズミ)を用いることで、悪心と嘔吐を1匹の動物で解析するためのシステム構築を試みる。

次年度使用額が生じた理由

表情記録システムを構築する際に、まずはメーカー等に依頼せず、種々の既存部品(機材)を組み合わせて自作したため、比較的安価に仕上がった。当初、データ取得が思うように進まなかったため物品購入が少なかったが、昨秋より安定してデータが取ることができるようになったため、今後は購入が増えると予想している。

次年度使用額の使用計画

データが取れる様になったとはいえ、自作システムではデータ取得効率に限界があった。本システムをメーカーに依頼して製作するため物品費が本年度より必要になると思われる。
また、表情解析を行うための画像処理ソフトや嘔吐する動物のスンクス(ラットよりも1匹当たりの代金が高価である)の購入を検討している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 眼形状モニタリングによるラットの悪心判定法の開発2015

    • 著者名/発表者名
      山本浩一 辰谷聡一 石田隆行
    • 学会等名
      171回 医用画像情報学会春季大会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2015-02-07

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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