研究課題
本研究は、申請者が発見したeIF2αリン酸化シグナルによる骨格筋の機能変化を基に、小胞体ストレスとの関連が示唆される封入体筋炎モデルにおいて、eIF2αリン酸化シグナル活性化による筋機能の改善効果について明らかにすることを目的とする。今年度は、eIF2αリン酸化シグナル活性化による封入体筋炎治療法が可能か否かを、eIF2αリン酸化を制御できる遺伝子改変マウス(未発表)を用いた封入体筋炎モデルでの遺伝子発現変化や筋機能の改善効果を検討した。eIF2αリン酸化により骨格筋でのアミノ酸や筋繊維の変化を確認できた。さらに新たな治療法開発を目指して、eIF2αリン酸化による遺伝子変化を指標にした化合物スクリーニング法を確立した。
2: おおむね順調に進展している
AP20187投与eIF2αをリン酸化したFv2E-PERKマウス(TG)と野生型(WT)の骨格筋で、LS-MS/MSにより骨格筋細胞のアミノ酸プールが変化することを見出した。また免疫組織染色で遅筋型ミオシン重鎖が、eIF2αリン酸化で変化することを見いだすことができた。さらにeIF2αリン酸化による遺伝子変化を指標にした化合物スクリーニング法を確立した。
樹立した骨格筋特異的にeIF2αリン酸化を制御できるFv2E-PERKマウスで封入体筋炎を誘発し、P20187の投与量、投与回数など複数の条件でeIF2αリン酸化による効果を検討する。さらにeIF2αリン酸化を制御できる化合物による新たな治療法を開発するために、化合物ライブラリーから前年度確立したスクリーニング法にて新規化合物を行う予定である。
eIF2αリン酸化を制御できるFv2E-PERKマウスで封入体筋炎を誘発し、P20187の投与量、投与回数など複数の条件でeIF2αリン酸化の程度を変化して封入体筋炎抑制効果を検討しているが、条件検討に多少時間を取っているため。
本研究では、骨格筋でのeIF2αリン酸化シグナルの制御による封入対筋炎の新たな治療法の基盤を確立することを研究の目的としている。申請者らが開発したスクリーニング法でより強くeIF2αをリン酸化する化合物を探索し、効果が確認できた化合物投与群と非投与群からRNAを抽出してDNAマイクロアレイにより網羅的な遺伝子発現解析を行う予定のため、マイクロアレイ解析や組織学解析の経費にあてる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 1件)
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