研究課題
本研究は、申請者が発見したeIF2αリン酸化シグナルによる骨格筋の機能変化を基に、治療抵抗性で高齢化と共に増加している封入体筋炎の低分子化合物による新たな治療法開発を目的とした。封入体筋炎の原因は不明な点が多いが、封入体に折りたたみ障害が受けるアミロイド前駆タンパク質が存在することから、小胞体ストレスとの関連が示唆された。小胞体ストレスに対して細胞は小胞体ストレス応答により適応を図ることから、小胞体ストレス応答を活性化できる低分子化合物の探索を行った。前年度までに確立しているハイスループットスクリーニング法により、約4000化合物からなる化合物ライブラリーからの探索を実施した。そして小胞体ストレス応答の一つであるPEKR経路を活性化できる化合物を同定することができた。同定した化合物は、細胞レベルで筋芽細胞であるC2C12細胞でもATF4誘導効果などをウェスタンブロットなどで確認することができた。マウスを用いてin vivoでの効果についても検討を行ったが、細胞で認めたような効果は残念ながら認められなかった。その原因として、同定した化合物の溶解度が極めて低いために、個体レベルでのドラッグデリバリーに問題があることが考えられた。そのため今後、同定した化合物の分子構造修飾による溶解度による吸収改善が必要である。しかしながら、同定した化合物は既知のPERK経路の制御剤とは異なる母核を持つことから、今後の開発に向けて現在特許申請を準備している。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
FASEB J
巻: 30 ページ: 798-812
10.1096/fj.15-275990
Neurotic Lett.
巻: 612 ページ: 199-203
10.1016/j.neulet.2015.12.031
Endocrinology
巻: 156 ページ: 1242-1250
10.1210/en.2014-1748
Br J Pharmacol
巻: 172 ページ: 4519-4534
10.1111/bph.13236