厚生科学基盤研究分野医療技術実用化総合研究「臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化に関する研究(平成25-26年度)」が公表した初級・上級CRC養成研修カリキュラムシラバスと、豪州のThe University of Sydney Nursing SchoolのCRC養成コースであるPost graduate study clinical trials practice のUnit of study descriptionsと比較した。その結果、日本のカリキュラムには、リサーチクエスチョンの作成、品質保証の観点を踏まえた臨床試験実施プロセスの根拠資料の作成、総括報告書の作成や論文化、予算の立案と研究費管理等が含まれていないことが明らかになった。 また、豪州のCRC 3名による日本のCRC実務業務調査を実施するとともに、日本の調査対象施設のCRCを対象に日豪間の業務の違いについてのアンケート調査を実施した。 これらの調査結果を踏まえ、2015年9月に神戸で開催された第15回CRCと臨床試験のあり方を考える会議のシンポジウム「CRCの真の役割とは~海外との比較から考える~」にて日豪間のCRCのrole and responsibilityの違いについて議論を行った。その結果、個々のCRCが実施する業務は同じであるが、日本のCRCは、臨床試験全体をふまえた個々のCRC業務の目的・意義についての理解が十分ではないことが判明した。以上の結果から、現状の日本のCRCの養成教育カリキュラムには臨床研究の立案から結果の報告・臨床現場への応用までを見据えた臨床試験全体の管理・運営に必要な項目の追加が必要であることが明らかとなった。
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