研究課題
①.qPCR-tRNA修飾分析法によるヒト末梢血標本のtRNALys(UUU)修飾解析の実証qPCR-tRNA修飾分析法が臨床検査分野で応用可能か実証するために、ボランティア健常人末梢血標本を用いて2型糖尿病と関連のあるtRNA修飾であるtRNALys(UUU)修飾について検討した。100名のボランティア健常人から 採取した末梢血から血球成分を分離後、赤血球を低浸透圧溶血させ、残存した血球から全RNAを精製した。qPCR-tRNA修飾分析法により、tRNALys(UUU)の37番アデニンのチオメチル化修飾について解析を行い、同法のヒト末梢血標本を用いた時の感度、正確性を検討した。その結果、100µlの末梢血からtRNALys(UUU)のチオメチル化修飾を同定できることが明らかになった。これは、従来の方法の約1000倍の感度であった。②.qPCR-tRNA修飾分析法による2型糖尿病患者、胃がんおよび乳がん患者末梢血標本のtRNA修飾解析の実証早期胃がんおよび早期乳がん患者のがん部および非がん部標本を用いてtRNA修飾解析を行った。その結果、胃がん、乳がんともがん部におけるミトコンドリアtRNAのチオメチル化修飾が低下していることが明らかになった。一方、転移を認めた進行胃がんおよび乳がんでは、がんのステージの進行に伴って同修飾が増加することが明らかになった。さらにsiRNAでCdk5rap1の発現を抑制し、ミトコンドリアtRNAのチオメチル化修飾を抑制すると、がん細胞の浸潤が抑制された。以上の結果から、本研究で開発したqPCR-tRNA修飾分析法が、患者末梢血のtRNA修飾解析に有用であることが示された。また本技術を用いることにより、tRNA修飾を標的とした新しい疾患マーカーの発見につながることが示された。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Bio-protocol
巻: 6 ページ: e1695
Cell Metabolism
巻: 21 ページ: 428-442
10.1016/j.cmet.2015.01.019.
Diabetologia
巻: 58 ページ: 745-748
10.1007/s00125-015-3508-9.
http://kumamoto-physiology.jp